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1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。本年6月、原則土曜日午前中に公開の週刊マガジンにリニューアル。同時に完全無料化され、最新記事や過去分もすべて無料でお読みいただけます。

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給食無償化の課題とこれからの学校給食~すべての子どもが安心して食べられる社会へ

鳫 咲子(跡見学園女子大学教授) はじめに コロナ危機後、食材費高騰の中で、子どもの食の格差が拡大している。この格差を小さくする役割が学校給食にはある。給食無償化には、全ての子どもが給食費を気にせずに、安心して給食を食べられるというメリットがある。  本稿では、学校給食の現状を踏まえつつ、無償化の課題とこれからの学校給食のあり方について考える。 給食の歴史 今から70年前の1954年に学校給食法は制定された。法律の根拠がなかった戦前にも、学校に弁当を持参できない子ども、

    • 放送界の先人たち~横澤彪氏

      放送人の会とは 一般社団法人「放送人の会」は、放送局、プロダクションなどの枠を超え、番組制作に携わる人、携わった人、放送メディア、放送文化に関心をもつ人が、個人として参加している団体です。  「放送人の会」では「放送人の証言」として先達のインタビューを映像として収録しており、デジタルアーカイブプロジェクトとしての企画を進めています。既に30人の証言をYouTubeにパイロット版としてアップしています。  「調査情報デジタル」でも証言を紹介すべく、テキスト版抄録を公開して

      • ある戦場記者のもがき~「豚野郎」そして「ヒラメとカレイ」~

        須賀川拓(「news23」専属ジャーナリスト) 豚野郎 「さっさと現場にいけ、豚野郎!」  X上(マスク氏による買収前だったので、当時はTwitter)でこんな内容のメッセージが届いたのは、忘れもしない2023年10月8日の夜のこと。ガザを実効支配するハマスが、イスラエル側に越境攻撃をした日の翌日だった。  現地メディアやSNS、そして現地の知人や友人から送られてくる断片的な情報。境界沿いの村だけでなく、救助に駆けつけた民間人をも標的にした、あまりに凄惨な犯行に私は絶句

        • データからみえる今日の世相~暑い、でも、泳がない~

          江利川 滋(TBSマーケティング局)  猛暑やら大雨やらで連日大変な天気が続く夏のこの頃。  気象庁の「気候変動監視レポート2023」によると、全国的に猛暑日や熱帯夜が増加しているとのこと。都市部では周辺地域より気温が高くなりがちで(ヒートアイランド現象)、東京ではこの100年で夏の平均気温が2.3℃も上がったそうです。  こんなに暑い夏には、冷たいプールで一泳ぎ。あるいは浜辺に繰り出して、海水浴を満喫するのも楽しそう。  しかし、50代半ばの筆者が我が身を振り返ると、

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          3本

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          ネット時代にテレビ・新聞の遅れを露呈させた都知事選~放送データで見る選挙報道分析

          水島宏明(ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授) はじめに 現職の小池百合子知事が三選を果たした東京都知事選の投開票日からもう1か月あまりになる。現職の小池氏と立憲民主党や共産党などが支援した前参議院議員の蓮舫氏との事実上の一騎打ちと見られていた今回の知事選。テレビや新聞などの主要メディアは、小池百合子氏、蓮舫氏、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の4人を主要な候補と想定して、事前の記者会見などもセットした。  7月7日の七夕決戦。午後8時

          ネット時代にテレビ・新聞の遅れを露呈させた都知事選~放送データで見る選挙報道分析

          オーバーツーリズムへの対応が持続可能な観光地域づくりに向けたカギとなる~我々は有効な解決策を見出せるか~

          東 徹(立教大学観光学部教授) コロナ禍から立ち直りつつある日本観光だが 日本の観光は、コロナ禍による「インバウンド・ロス」から急速に立ち直りつつある。昨年(2023年)の訪日外客数は2507万人と、コロナ禍前の2019年(3188万人)の78.6%まで回復した。今年に入ってからも増加が続き、2~6月の訪日外客数は、いずれも2019年同月を上回っており(JNTO)、過去最高であった2019年を超える可能性も見えてきた。  しかしながら、その一方で、オーバーツーリズムが再び

          オーバーツーリズムへの対応が持続可能な観光地域づくりに向けたカギとなる~我々は有効な解決策を見出せるか~

          「線状降水帯」が広く知られるきっかけ~「広島土砂災害」から10年~

          岩永 哲(RCC中国放送 ウェザーセンター気象予報士・記者) 「先ほど気象庁は『線状降水帯発生情報』を発表しました。災害の危険度が急激に高まっています…」 「きょう夕方、気象庁は線状降水帯の“半日前”予測情報を発表しました。あす午前中から午後にかけて…」  今年も全国で大雨災害が相次いでいるが、最近は「線状降水帯」というフレーズが、多くの人の大雨に対する警戒意識を一段高める役割を果たすようになっている。報道現場でも「線状降水帯」関連の情報が出ると災害モードに切り替える局も

          「線状降水帯」が広く知られるきっかけ~「広島土砂災害」から10年~

          視聴者の声~牛久は千葉?茨城?

          浜崎 由佳(TBSテレビ カスタマーサクセス室長)  日本各地で暑い毎日が続いています。熱中症への警戒やゲリラ豪雨、雷雨と、情報番組ではかなりのボリュームで天気の話題をお伝えしています。  そんな中、6月の下旬から80件ほどご意見、ご指摘いただいた“地名”があります。  実は、「千葉県市原市牛久」には、気象庁の観測所があります。名称は「牛久観測所」ですので、間違いではないのですが・・・。ご指摘のように、牛久と言えば茨城県牛久市を思い出してもおかしくはありません。  千

          視聴者の声~牛久は千葉?茨城?

          クマをめぐるメディアの責任は~命を守る「速報性」と「日常性」

          幾島 奈央(HBC北海道放送 デジタル推進部) 3年前に痛感した、伝える力の不足 朝の住宅街、歩道に黒っぽい影が見えた。人だと認識した瞬間、背筋が凍った。血を流して倒れていた。  2021年6月18日、札幌市東区の住宅街にヒグマが現れた。ばったり出会った4人が、重軽傷を負った。  私は午前5時ごろ、デスクからの電話で目を覚まし現場へ向かった。私の緊張感とは裏腹に、住宅街には平穏な日常があった。通勤・通学や、ごみ出しに向かう人が多く歩いていた。  東区は山林と隣り合って

          クマをめぐるメディアの責任は~命を守る「速報性」と「日常性」

          エデュケーショナル・マルトリートメント~子どもに悪影響を及ぼす過度に競争的な教育 

          武田 信子(一般社団法人ジェイス代表理事) 1.被虐待児と同じ症状を呈する日本の子どもたち1)気づかない日本の大人たち  子どものからだと心の発達を、全国の養護教諭らの協力を得て40年以上研究している日本体育大学体育研究所の研究結果によれば、近年の「日本の多くの子どもたちは、虐待を受けている子どもたちと同じ身体症状を呈していると解釈できる」(野井,2021)、つまり、ジュディス・ハーマン(1999)の言う「警戒的過覚醒状態にあり、睡眠と覚醒、食事、排せつ等の周期の乱れを示

          エデュケーショナル・マルトリートメント~子どもに悪影響を及ぼす過度に競争的な教育 

          放送法4条の呪縛を解き放て!テレビ局は選挙をもっと報道せよ

          境 治(メディアコンサルタント) 「アップデートできてないのは政治とメディアだ」 少し時間が経ってしまったが、東京都知事選挙の結果を見てびっくりした人は多いだろう。小池百合子氏の当選は予想通りとして、2位が石丸伸二氏で3位が蓮舫氏だった。私は20時に速報番組を見て驚愕しながら「3位じゃダメですよね?」と思わずつぶやいた。  結果の分析記事はにすでに様々出ているのでもう必要ないだろう。私がここで取り上げたいのは、石丸氏の「アップデートできてないのは政治とメディアです」のひと

          放送法4条の呪縛を解き放て!テレビ局は選挙をもっと報道せよ

          <シリーズ SDGsの実践者たち> 第34回 「牛のげっぷ」抑制で温室効果ガス削減目指す

          「調査情報デジタル」編集部 メタンガスを排出する「牛のげっぷ」 全世界で排出される温室効果ガスの中で、大半を占めるのが二酸化炭素。その次に多いのがメタンガスで、温室効果ガス総排出量の約5%を占めると推定されている。メタンの主な排出理由の一つが、牛のげっぷだ。  牛には胃が4つあり、1つ目と2つ目の胃の中には微生物がいる。これらの微生物が食べた飼料を分解し、発酵させて、エネルギー源として使える形に変えていく。この過程で二酸化炭素や水素などのガスが発生し、水素は胃の中にいるメ

          <シリーズ SDGsの実践者たち> 第34回 「牛のげっぷ」抑制で温室効果ガス削減目指す

          2024年4月期ドラマ座談会

          影山 貴彦(同志社女子大学教授) 田幸 和歌子(フリーライター) 倉田 陶子(毎日新聞デスク) 「虎に翼」の寅子は実は嫌われかねない?影山 「虎に翼」(NHK) から語りましょう。 倉田 社会の受けとめ方、視聴者への浸透度が、これまでの朝ドラと違うように思います。朝ドラは大体、最初見て、だんだん見なくなるパターンが多いんですが「何十年ぶりに毎朝見てる」「一話も欠かさず見てる」という人が周りにいます。見る側の熱量が違うんです。  初回に、法の下の平等をうたう憲法14条が出

          2024年4月期ドラマ座談会

          データからみえる今日の世相~「いくつでも、お答えください」にどう答えるか~

          江利川 滋(TBSマーケティング局)  あなたは日頃、アンケートによく回答しますか?  インターネットのWebサイトで買い物をしたり、何かのサービスを使ったりすると、「商品の使い勝手」「サービスの満足度」「手続のわかりやすさ」、さらに「友人・知人にどれくらいオススメしたいか」等々、あれこれ尋ねられた経験は誰しも一度や二度ではないはず。  こうしたアンケートは、売り手が買い手の意見を聞き、商品・サービスの改良、広告・宣伝や売り方の改善に役立てるという、いわゆるマーケティン

          データからみえる今日の世相~「いくつでも、お答えください」にどう答えるか~

          パリ五輪はこのアスリートに注目!~ブレイキンが熱い

          佐藤 俊(スポーツライター) 男子サッカー、メダル獲得なるか 7月26日から8月11日までパリ五輪が開催される。  東京五輪から3年、選考という競争を勝ち抜いてきた選手がパリを舞台に世界と戦うことになる。8位内の入賞はもちろん、メダル獲得の期待が高まる注目の個人、団体スポーツを取り上げてみた。  開幕に先駆けてスタートするのは、サッカーだ。男女ともに出場するが、とりわけ期待が大きいのは、U23日本代表がメキシコ五輪以来56年ぶりのメダル獲得を目指す男子サッカーだ。パリ五

          パリ五輪はこのアスリートに注目!~ブレイキンが熱い

          自動音声の声が「女性声」なのはなぜか~隠れたジェンダー意識が社会を支える訳~

          坂田謙司(立命館大学産業社会学部教授) われわれの日常にある音と声の存在 われわれの日常は、音や声で溢れている。能動的に聴く音や声もあれば、否応なしに聴こえてくる音や声もある。  NHK放送文化研究所が5年に1度行っている「国民生活時間調査2020年」によれば日本人全体の平均睡眠時間は7時間12分で、残りの約17時間は屋内外で何らかの活動をしていることになる(1)。  われわれの耳は、構造上外部からの音を遮断することはできない。言い換えれば、まぶたのような器官を持たない

          自動音声の声が「女性声」なのはなぜか~隠れたジェンダー意識が社会を支える訳~