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きわめて有効なSNS上の誹謗中傷対策とは

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【多くの人を不幸にするSNSでの誹謗中傷。多数の誹謗中傷を止めてきた実績のある執筆者が語る有効な対策とは?キーポイントは「伝えるだけ、あとは何もしない」】

森山 史海(NPO「ビリオンビー」理事長)


増え続ける「誹謗中傷」

  2005年からボランティアで始めた誹謗中傷対策も今年で19年目になりました。誹謗中傷は今現在も急速に増え続け、解決が非常に困難な社会問題となっています。

 わたしは誹謗中傷が原因で、学校や会社に行けなくなってしまった人、経営困難になりお店や会社がなくなってしまった人、住むところや食べるものさえなくなってしまった人、悲しいことに命を落としてしまった人を大勢みてきました。

 さらには誹謗中傷された人だけではなく、誹謗中傷された人を助けたいと思っている家族や恋人、友人知人なども人生を狂わされて苦しむ姿をみてきました。

 ここまで大きな社会問題であるのにも関わらず、なぜ解決が難しいのでしょうか。そして本当に解決はできないのでしょうか。

 『誹謗中傷は絶対に無くならない。』

 残念ながら、ほとんどの人がそう思っています。一般の方だけではなく頼みの綱の弁護士さんや警察官でさえそう思っています。果たして本当にそうでしょうか?

 私はそうは思いません。

 なぜなら私が行っている誹謗中傷対策では、約9割が削除されたり炎上が止まったり、書いた人が警察に名乗り出たり、和解したりしているからです。しかも最短で10分後、ほとんどの場合は長くて1ヶ月以内にです。そして私は、その対策をずっと無料で行ってきました。

誹謗中傷の被害者が望んでいること

 誹謗中傷で苦しんでいる方が本当に望んでいる解決とは、どのようなことなのでしょうか。

それは

① 一日でも早く誹謗中傷を消したい。
② 自分の潔白を証明したい。
③ 二度と書かれたくない。
④ 費用なんて掛けたくない。
⑤ まわりに心配や迷惑を掛けたくない。
⑥ 誹謗中傷される前の自分に戻りたい。

大きく分けて、この6つです。

① 一日でも早く誹謗中傷を消したい

 誰であれ自分に向けられた誹謗中傷は見たくないもの、見られたくないもの。書かれた側が負う影響は相当なものです。しかし書かれてしまった誹謗中傷を消すのは物凄く難しいことです。みなさんご存じの通り一度書かれてしまった誹謗中傷は削除が難しく一生ネット上に残ってしまうことがほとんどです。

 そしてその後の人生の節目節目で影響を及ぼすことが実際にあります。例えば受験や就職、結婚などでは身元調査をネットの情報から行うことも当たり前のこととなりつつあります。そのようなことを考えても誹謗中傷は誰もがすぐに削除したいと思うものなのです。

② 自分の潔白を証明したい

 書かれた内容のほとんどについて、誤解や悪意が感じられたと言う人が多いです。その書き込みにより多くの影響がでて、その後の生活や仕事などにも支障がでてしまっています。

 特にネット上で荒れてしまった場合は、いくら書かれた人が訂正しようとしても逆効果になってしまうことが多くあります。必死で訂正しているうちに感情的になり少しでもミスがあると、そこをつつかれてしまう。ネット上では、そんなことを繰り返すうちに現実世界とは別の人格を作り上げられてしまうことがあります。

 ネット上の人格と現実の人格は全く違っていることが多いと言うことも知ってほしい事実です。誹謗中傷されている人は、書かれた内容の他にもネット上の自分と本当の自分は違うんだと言いたい人が大勢いるのです。

③ 二度と書かれたくない

 書かれてしまって苦しんでいる人の多くは、何度となく誹謗中傷が繰り返されていることも多いです。そのため次から次へ書かれることで精神的負担が増え続けます。運良く誹謗中傷が削除されたとしても、また書かれるかもしれないと言う恐怖が一生付きまとう生活は本当に考えただけで恐ろしいものなのです。

④ 費用なんて掛けたくない

 なぜ誹謗中傷された側が費用を出さなければいけないのでしょうか。費用と言っても数千円から数万円でも出したくないのに、弁護士さんに頼むとなると驚く位高額になります。削除代行などでも少額と思っていたら、書き込まれた件数等によって合計金額が増え、しかも削除されるかの保証はないと言うことです。

 さらに書いた人が大勢いた場合はどうでしょう。開示請求ともなると、1人に対して約30万円とも言われています。5人だったら?10人だったら?数人開示請求したとしても残りの人はどうするのでしょう。開示請求された人は運が悪かったと言い、他の人が書き込みを止めることはないのです。だいたい誹謗中傷で苦しんで様々な影響が出てしまい生活や仕事にも支障が出てしまって金銭的余裕がなくなってしまって費用を出せない人も多いのです。

⑤ まわりに心配や迷惑を掛けたくない

 ここも大きな問題です。書かれた人がもっとも心折れるところです。自分に対してのことについては、何とか頑張っている人でも自分以外に迷惑が掛かってしまうと限界を感じるそうです。

 自分だけなら戦えた、自分だけなら我慢できた、自分だけなら乗り越えられた。でも自分の大切な人にまで迷惑を掛けてしまったと思うとき…堪えきれなくて命を落としてしまう人も少なくありません。コロナ以降、誹謗中傷で命を落としてしまう人が物凄く多くなっていることを知ってください。

⑥ 誹謗中傷される前の自分に戻りたい。

 誹謗中傷で苦しむ人は、自分は性格が変わってしまった、もっと明るかったのに、ポジティブだったのに、友だちが多かったのに、毎日楽しかったのに…人を信じられなくなった、人の目が怖いなどと相談してくる人が多いです。

 元の自分に戻りたいと泣きながら話している人たちの悲痛な想いを多くの人に知ってほしいと思います。

 誹謗中傷の怖さ、危険性を知らないと誹謗中傷を本当の意味で止めることは難しいと思います。

 そして誹謗中傷は約9割解決できると言う実績を持つ私が、誹謗中傷で本当に怖いと思うことは『誹謗中傷は解決できても、誹謗中傷で苦しむ人の心の傷を治す方が難しい』と言うことです。

 わたしは今、誹謗中傷の怖さや危険性を多くの人に知ってもらうことと、わたしの考えた対策を自動化して一日も早く誹謗中傷を止める画期的なシステムとして無料で提供するために活動しています。

 次に、約9割の実績が出せている仕組みについて詳しく説明します。

ネットの誹謗中傷監視システムの活動

① 誹謗中傷された方のサポート
② 誹謗中傷についての研究
③ 誹謗中傷に関するデータ収集及びデータの作成
④ 各関係機関への情報共有
⑤ 各関係機関との連携
⑥ 法律改正等の情報収集や法律改正案の提案

今までに行ってきたネットの監視システムの対応(個別案件)

① 相談者さんの話を聞く

 まずは相談者さんの話を徹底的に気が済むまで聞きます。なぜなら相談者さんの話を聞くと言うことは、特に重要なことだからです。

 警察でも弁護士でも、話ができる時間は限られています。感情的な部分を聞いてもらえることは不可能です。しかし相談者さんは感情を吐き出すことが大切なのです。それだけで落ち着きを取り戻すこともあります。

② 時系列で資料を作成

 警察や弁護士などに提出する専用の資料を作ります(システム化後は、システムを介して弁護士さんが行います)。ここがシッカリしていると警察も弁護士さんも対応がスムーズにできます。

③ 誹謗中傷の確定をする

 弁護士さんや警察などに、どこの部分がどんな罪になるのか判断してもらいます (システム化後は自動で確定し、その後弁護士さんが目視で最終判断をします)。

④ 記録・監視を開始

 対象のサイトを目視で30分おきに監視したり、証拠として記録します (システム化後は自動的に行います)。

⑤ 新着状況を可視化したページ作成

 今どんな状況なのか、一目見てわかるようにします。例えば◯月◯日◯◯警察に被害届提出とか弁護士さんへ相談したなどの情報を記載します。

⑥ 警察、弁護士等への同行

 誹謗中傷された内容を繰り返し質問されたり、目にするだけでも精神的にキツイ、耐えられないと言う方のために同行しサポートします。

⑦ 書き込み者、運営者、観覧者への情報公開

 上の⑤で作成したページを相談者の意向によってDMや対象のサイトでの公開などを行い注意喚起します。同時に直近の類似したニュースや判例結果を記載します。

⑧ 解決までのサポート

 誹謗中傷だけではなくメンタル面、生活面などに関して各関係機関に繋げサポートします。

 以上がNPO法人ビリオンビーが運営するネットの誹謗中傷監視システムの活動内容になります。

 多くの機関や団体などが、積極的に誹謗中傷は犯罪です、絶対にやめましょうと発信しています。そして誹謗中傷についても詳しく書いてあります。それでも誹謗中傷は減るどころか増え続けています。なぜ減らないのでしょうか。

 それは、その内容を自分のこととして捉えられない人が多いからなのです。

 数えきれないほどの誹謗中傷をしても、自分の書き込みが誹謗中傷だと思っていない人や、誹謗中傷だと分かっていても、まさか自分が捕まるだなんて考えもしない人が多いからです。わたしは急速にインターネットが普及し、教育が追いついていないことが大きな原因のひとつだと思っています。

対策は「伝える」だけ、あとは何もしない

 わたしの対策は書いた人に、『直接弁護士や警察などに確認したところ、あなたの書いた、こことここが、このような犯罪です』と伝えることで、自分が書いたことに対して認知認識してもらうと言うものです。

 そして重要なことは、それ以上は責めたり罰したりせずなにもしないことです。

 かなり前になりますが弁護士会に毎日のように電話をしていたことがありました。誹謗中傷について法律的に何ができるのか、どうにかならないか…。その時に『あなたは弁護士じゃないから無理です。本気で誹謗中傷をなくしたいなら弁護士になればいいじゃないですか。非弁行為と言うのがあるのを知っていますか?』などと叱られた経験があります。

 そのとき弁護士にしかできないこと、警察などしかできないことを知ることができました。そこで、わたしができること、弁護士や警察、その他の機関ができることを明確にしました。そして各関係機関を連携することにより確実に誹謗中傷をなくすための結果を出すことに成功しました。

 あくまでも正しい情報を提供するのみで、後は自分で判断し自分で行動してもらうのです。これにより言論の自由や憲法が…などと言う問題もクリアすることになります。

 わたしが言う『教育』とは、このように書いた人が自分で正しい情報を得て、自分で考え行動するようにするものです。

 そして、それは物凄く効果があるのです。

 それでも誹謗中傷するのであれば法的に責任を取るのは当たり前だと思います。わたしの対策で自らが誹謗中傷を止め、誹謗中傷の件数が大きく減ることで、弁護士や警察も動きやすくなります。

 このような活動を今まで寝る時間も、休む日もないほど、しかも手作業で行ってきました。今はこれを自動的にできるようシステム開発をしています。このシステムを誰もが無料で使えるよう広めていきたいと思います。あえて無料にこだわるのは、前にも述べたように誹謗中傷で苦しんでいる方の中には経済的にも大変な方が多いからです。

 また、ここ数年の誹謗中傷の原因の1つに収益化の問題もあります。

 書き込まれた誹謗中傷の原因や内容については一切調べることもなく、インプレッション稼ぎ、収益のためだけにリポストしている人たちも多くいます。これも今後きちんと取り締まってほしいものです。叶うことなら収益化のため被害者を苦しめている人たちに関しては、収益全て没収、さらに高額な罰金を課せられたらと思っています。

 わたしは今まで「対策」を主に行ってきました。効果の高いシステムを作っても、これを広める発信力はありません。そして費用も全て自腹です。システム開発には最低でも3,000万円掛かります。今年の12月までに支払わなければ自宅を売らなければなりません。そのため誹謗中傷の本当の怖さや危険性を多くの場所で伝えたいと考えています。そこで費用を集められたらと思っていますので、みなさんのご協力をお願いいたします。

<執筆者略歴>
森山 史海
NPO「ビリオンビー」理事長。
飲食店のコンサルを行っていた中で、ネットでの誹謗中傷による犠牲者からの相談を受け、対応策について、どこに問い合わせても解決手段が見つからず、悔しい思いをしたことがきっかけで、2005年からネットの誹謗中傷の抑止活動を始める。

この記事に関するご意見等は下記にお寄せ下さい。
chousa@tbs-mri.co.jp

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