ドキュメンタリー番組・コロナ禍で現場にも変化
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ドキュメンタリー番組・コロナ禍で現場にも変化

調査情報デジタル
【コロナ禍で制約の急増したドキュメンタリー番組。そして、県民の命を守るために日々放送を続けるRSK山陽放送スタッフ。県民の情報ニーズを把握し、番組作りに活かしていく】

武田 博志(RSK山陽放送 デスク・ドキュメンタリーディレクター)

 RSK山陽放送では「RSK地域スペシャル・メッセージ」というドキュメンタリー番組を毎週水曜日夜8時から1時間放送しています。2012年の放送開始から今年で10年、これまで放送エリアの「岡山・香川のいまを映像に残す」をモットーに、取材班は瀬戸内海の小さな島から、必要であれば世界各国に飛び立ち、1時間番組をこれまで230本ほど作り上げてきました。水曜よる8時は、ドキュメンタリー番組「メッセージ」

画像②パキスタン取材(2014)

画像③チリ取材(2018)

画像④岡山県北木島取材(2019)

 しかしコロナ禍においてドキュメンタリー番組の取材方法・内容が大きく変わってしまいました。2019年7月のタイ取材を最後に海外取材は全て中止に。また緊急事態宣言下では県外取材の自粛も余儀なくされ、さらには医療体制が脆弱なため島嶼部も感染拡大を懸念して訪れることが不可能に・・・と制約ばかりが増えていく事態となりました。「現地に赴いて現場の空気感とともに声を拾い上げいまを伝える」ということがままならず、映像に厚みを持たせることも出来なくなってしまいました。

画像⑤緊急生放送(2020.3.25)0

 そのような中、毎週1時間の報道番組枠を持つ我々に何が出来るのか・・・2020年のコロナ発生当初から立ち上がったのが「緊急生放送」のコロナ特番です。2020年3月25日、岡山県内で初めて感染が確認された3日後に第1回を放送したのを皮切りに、第2波~第6波まで感染の波が訪れるたびに特番を組んできました。

 スタッフは、キー局のように人員が豊富ではないため基本的には構成・台本作成・CG発注・アポ取りを担当する1名と、日々のニュース素材をかき集めて編集する1名の計2名で準備を進めます。あとは当日のニューススタッフと連携して1時間の生OAと中継をこなすという態勢です。感染が急拡大した場合には、放送日前日に緊急生放送に変更になることもあり、かなりの急ごしらえで放送をするケースも多々ありました。

画像①& ⑥緊急生放送の模様(2022.1.19)00

 番組の内容は、放送エリアである岡山県・香川県の両知事、地元の医療関係者の方に生出演して頂くことが柱になります。また専門家の立場では全国メディアにも多数出演している中野貴司さんや二木芳人さんが幸い地元岡山にゆかりがあるため、直前の依頼でもお受け頂けています。あとは感染の推移をCGで紹介したり、コロナ禍の飲食店や観光地のニュース映像をまとめてVTRで紹介したり、といった形です。構成自体は極めてシンプルですが、番組を通して伝えたいことはただ1つ「放送を通じてコロナから県民の命を守る」に尽きます。

 そのためには「感染拡大ひいては医療崩壊を招かないために今日からでもすべきこと」を伝えること、コロナ禍で県民の皆さんが思い詰めずに済むよう情報提供をすること、経済的困窮を招かないために直接視聴者からの意見を知事にぶつけること、など様々な切り口があります。その際に大事になるのは、エリアの人たちが今どんな情報を求めているかを事前にしっかり把握することに尽きます。

画像⑦生放送でのアンケート結果紹介(2022.1.19)000

 ですから必ず番組前には弊社のアプリで緊急アンケートを実施し、一方でニュース班に街録を集めてもらい、いま何に困っているか、コロナの何が疑問なのか多くの声を聞くことで、県民がいま何を求め、何を知りたいのか探りながらエリアのコロナに対する空気感をつかむことが重要になります。特に今年1月19日に放送した「オミクロン株」緊急特番では、視聴者の意見が「はやく県は『まん防』の要請を」派と「重症化しないし恐るるに足らず」派に二分されたことが顕著になったため、街録とアンケートは両者にきちっとメッセージが届く番組作りのために非常に有効でした。

画像⑧生放送特番より(2022.1.19)0000

 この緊急生放送は、時には視聴率で他局のバラエティー番組を凌ぐこともあります。毎日東名阪発のワイド番組でもコロナは取り上げられ弊社でも放送していますが、それとは別に地元の医療現場の状況・観光地の苦悩、さらには「知事から県民へ」「県民から知事へ」の双方向の訴えなど、普段のニュース枠では伝えきれないローカルならではの様々な深掘りした情報をエリアの人たちも求めているのだ、とこの2年間実感してきた次第です。

画像⑨ スイス取材は主人公の友人に依頼(2020)

 とは言え、私たちも生放送ばかりではなくこれまで通りのドキュメンタリーを作りたいという思いも常に抱いています。いくらリモート取材が進化してきているとはいえ、ZOOMなどは使わず現地に赴いて現場の空気感に触れながら声を集め、映像を積み重ねて1時間番組を作り上げたいというのが本音です。コロナ禍で取材は決して容易ではありませんが、それでも現在アフターコロナに向け新たに10テーマほどの取材を並行して走らせているところです。県外、そして海外へ再び自由に取材できる日が来るのを心待ちにしながら、いましばらくコロナ禍で経験を積み、力を蓄えています。

<執筆者略歴>
武田 博志(たけだ・ひろし)
RSK山陽放送 デスク・ドキュメンタリーディレクター
1997年、RSK山陽放送に入社。アナウンス部、ラジオ放送部、報道部、四国支社報道部、営業部を経て、現在、報道部主査。2016年、文化庁芸術祭賞を受賞。2018年、広告賞「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」でACCゴールドを受賞。

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