視聴者の声~サンタさんについての配慮
村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)
今年は昨年よりも街のクリスマスイルミネーションが華やかだ。コロナは収まっていないが、昨年のこの時期に比べると街の人出も増えている。
クリスマス前のこの時期に毎年のように聞くご意見がある。番組出演者のサンタクロースに対する言及に関してだ。
「週末の昼間のバラエティ番組でサンタクロースの正体をバラしていました。小さい子どもが見ない深夜ならまだしも、家族で見ることの多い時間帯の番組としては配慮に欠けているのではないですか?酷いです。クリスマスやサンタクロースについては、世界中の多くの大人が子どもたちの夢を壊さないようにデリケートに気を使っています」という内容だ。
確かに、我が家でも子どもが幼少のころは、毎年サンタさんにお手紙を書いて、飲み物とクッキーをトレイに載せてツリー横の小さなテーブルにセットしていたものだ。
子どもがクリスマスの朝起きてサンタさんからのプレゼントに目を丸くしたり、にやにやしたりしながら歓喜の声を上げている姿を見られる事は、家族にとっての大事なひと時であろう。
世の中の人々が物価高に困っていたり、コロナ禍で何を心配しているのかを的確にとらえる事と同様に、視聴者それぞれの家庭にある、小さいけれど大事な出来事に想いを寄せ、様々な想像を働かせることは番組を製作する上で必要不可欠だと私は思う。
ご意見のなかには言葉に関するご指摘も多いが、最近なぜか「アナウンサーのイントネーションが標準語になっていない」という指摘が多かった。その中の一つに「12月」と言う時のイントネーションが関西弁のイントネーションになっているというご意見があった。これまでも2月、4月を関西弁のイントネーションで言っているのでは?という指摘はあったが、12月については初めてだった。
そういえば、この時期に話題になる新語・流行語大賞の今年の候補の中にもSNSなどでよく使われる「知らんけど」という関西弁が入っていたが、私の周りにも敢えて一言だけ、関西弁を入れてくるような会話をする若い人たちがいる。
コントや漫才の賞レースが年々盛り上がり、気づけば関東でも、お笑い芸人のライブが以前よりも頻繁に開催されるようになった。身近に芸人のライブトークに触れる機会が増えたり、推しの芸人がいる生活の中では、関西弁が以前よりも身近になっているのかもしれない。
言葉に関しては、年間最多ご意見賞ともいえるのが四文字熟語の「喧々諤々(けんけんがくがく)」。「喧々諤々ではなく、侃々諤々(かんかんがくがく)、又は喧々囂々(けんけんごうごう)が正しいですよね」。そう、巷でよく耳にする喧々諤々は二つの言葉がごっちゃになっているのだ。そもそも侃々諤々と喧々囂々では意味が違う。
人気のドラマにもさまざまな意見が届く。火曜ドラマ「君の花になる」では劇中のボーイズグループ8LOOM(ブルーム)がドラマの外でも実際にグループとして活動中、コンサートも行っている。
CDやグッズを楽しみにしていてくれるのは勿論の事、「『CDTV LIVE!LIVE!』などの歌番組にどんどん出演して欲しい」というご意見が届いたり、「ファンでまとまって8LOOMの応援広告を出したいです」という声まで届く。
日曜劇場「アトムの童(こ)」では、「ドラマ内で配布していた金色のゲッチャリロボが欲しいので、実際に売り出して欲しい」「あのゲームを実際に試してみたい」という声もよく聞く。
グッズといえば「ラヴィット!」のウサギのキャラクター・ラッピーのグッズも人気だが、年末をひかえ「来年はうさぎ年なので、是非年賀状や絵ハガキを作って欲しいです」という具体的なご意見も頂いた。
テレビ番組は今やテレビで見るだけでなく、様々なディバイスで好きな時間(とき)に楽しめる時代だ。視聴者の皆さんに更にコンテンツを楽しんでいただくために、我々も様々なトライを試みるが、そんな時もご意見からの気づきはとても重要だ。
金ドラ「クロサギ」に関しては役者の演技が好評なのは勿論のこと「詐欺に騙されないように注意ができて、ドラマが為にもなっています」というご意見もあった。流行り言葉と同様、ドラマもいつも時代を大いに映している。
さて、クリスマスにむけて、サンタさんのことはどこまで語るのか、多様性が叫ばれるなか、標準語と関西弁、どこまでは許容範囲か、時代が変われば変わることもあれば、変わらないこともある。そんなことを今日も侃々諤々語り合う視聴者センターの昼下がりである。
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