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視聴者の声~夏のドラマ

【注目を集めたドラマ「VIVANT」。お褒めの言葉をたくさん頂いたが、ご指摘を頂いた点も多い】

菊 薫子(TBSテレビ カスタマーサクセス部)

 夏の連続ドラマ3本がそれぞれ最終回を迎えました。

 火曜ドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」は18歳と40歳という年齢の離れた女性たちの友情や恋愛、人生を描いたドラマでした。

 「このドラマを通して、子持ちの女性が夢を叶えることには周りのたくさんのサポートや出会いが必要であり、また、40歳まで仕事を優先した女性にも結婚や出産に未来を感じるようなサポートが必要だと感じました。私も頑張ってみようかなと前向きになれる温かいドラマでした。すばらしいドラマをありがとう」(女性・40代)

 ターゲット層である女性だけではなく60代の男性からのご意見も届き新鮮でした。

 「感動と愛が一杯、出演者のみなさん全員の演技が際立っていました。毎回涙が出て、生きている感じがしました。これからも期待していますね!」(男性・60代)

 金曜ドラマ「トリリオンゲーム」には「続編お願いします。毎週楽しみにワクワクして見て、ハルとガクにたくさん元気をもらいました」という10代の女性から、「ドラマの内容は単純明快、あくまでも主役が格好良く。ちまちました男性と女性の恋愛物語のほうが今の若い人には受けるのか?私はこういうドラマの方がすっきりして面白かった」という70歳以上の年齢の男性のご意見まで。幅広い年齢層から感想が届きました。

 さて、この夏の連ドラで、各局の並びの中でもっとも話題になっていたのが日曜劇場「VIVANT」ではないでしょうか。乃木(堺雅人)と野崎(阿部寛)の仲間として初回から登場したドラム(富栄ドラム)、モンゴル警察の警察官チンギス(Barslkhagva Batbold)など、脇を固めるキャラクターたちの人気も回を追うごとに高まり、視聴者センターにもキャラクターたちの関連グッズ化やLINEスタンプ化などの要望が多数届きました。

 ドラムのPR活動は情報番組やバラエティ番組出演にとどまらず、「#ドラムに会いに行こう」イベントで全国各都市を飛び回り、また、赤坂サカスに設置されたVIVANTモニュメントは、出演俳優たちがサインを残していることもあいまって新たな赤坂の名所の様相に。

 最終回放送直前には豊洲のIHIステージアラウンド東京でファンミーティングを開催、チケットの申し込み数は座席数の10倍を優に超えてきたと聞きます。

 イベント参加したお客様からのお礼の声や、VIVANTモニュメントは撤去しないでしばらく設置しておいて!などの要望が視聴者センターにも連日届きました。

 「大ファンでテレビの前で存分に楽しみました。私の周りは本当にみんなが見ていて、月曜日の勤務先の昼休みは、みんなで考察をしていてとても忙しかった」(女性・60代)

 「堺雅人さんのファンなので、放送前からものすごく期待していたのですが、予想以上の面白さでした。ドラマを見たあとはいつも呆然状態で、SNSでいろいろな考察を読むまでがセットでした」(女性・30代)

 ネット上では『考察』が大流行り。視聴者センターにも『考察』を披露するご意見が届きました。1500文字を超える長文の『考察』を、毎週送って来られるお客様も現れたほどです。

 「毎週のドラマの時間を楽しみに生活を送ることはとても久しぶりです。今回の『VIVANT』は独自の見解で考察しやすい余白が設けられていて、それも多くの人を惹きつけた理由ではないでしょうか」(男性・30代)

 最近の傾向として、報道番組や情報番組には多くのご意見が寄せられますが、ドラマやバラエティ番組はそれに比べると多くはありません。SNSに感想を投稿することで満足するからなのではとのことですが、「VIVANT」に関してはご意見の数がとても多かったのが特徴でした。“どれだけ楽しんだか制作者に伝えたい!”というお客様の思いが、ご意見から溢れていると感じました。

 「第1話から最終回まで本当に面白く拝見いたしました!U-NEXTで繰り返し見て、次の放送を楽しみにしていた3か月間でした!是非とも是非とも続編があることを願っております!超期待!超期待!」(女性・30代)

 「続編希望。久々に家族みんなで、毎週の視聴だけでなく感想や考察で家族団らんで盛り上がったドラマでした。娘から70代のおじいちゃんまで一緒に楽しめるすばらしいドラマでした」(女性・50代)

 「終わってしまいました。とてもとても寂しいです。チンギスさんの言葉『子どもの時に楽しかった“子どもキャンプ”から町に戻る寂しい気分になってしまった。楽しかった日々、仲良くなった友だちと別れる瞬間を思い出して寂しくなる、その気分に戻った』。この思いと一緒です。2023年、この夏最高の冒険ができました。またいつか、きっとこのメンバーと会いたいです。このような感動をありがとうございました」(女性・50代)

 ドラマの続編や映画化を熱望する声も後を絶ちません。まちがいなくこの夏一番のブームを巻き起こしたドラマだったと感じています。

 楽しみにしているお客様が多いことの裏返しで、「VIVANT」には視聴者の多様性を指摘するご意見も多かったです。前々回ご紹介した、解説放送の要望もその一つ。モンゴル語や英語など、外国語のシーンが多い本作では、視覚障害がある方の鑑賞が難しい演出が多かったのです。

 「視覚障害者でもすごく楽しみにしていた番組だったのですが、ほとんどが外国語で字幕表示なのか内容が全くわかりませんでした。視覚障害者でもわかるようにしてください」(男性・50代)

 初回放送直後より解説放送の要望が増えたことから、「解説放送版」のネット配信を決定。視聴者センターに届いた声が活かされました。

 「解説放送について問い合わせをした視覚障害の者です。視聴者からの問い合わせに対して迅速な対応をありがとうございます。TBSFREE、TVer双方で解説放送版を確認しました。これでこの先もっと番組が楽しみになりました」(男性・50代)

 お客様のこのような声を担当部署にフィードバックする時、カスタマーサクセス部としては喜びを感じます。まさに「ご意見を届けてよかった」と、お客様(カスタマー)に成功体験(サクセス)をしていただくことが私たちの部署の使命だからです。

 視聴者の多様性に関して、「VIVANT」にはこのようなご指摘も届きました。

 「私は眼科医です。VIVANT、楽しみに拝見させて頂いてます。TBSのHPであらすじを読んでいますが、文字の配色についてのお願いです。黒背景に赤文字は一番見えにくい組み合わせだと、私の患者さんも言っていました。強調文字には赤を使いがちですが、それよりも誰もが見やすい配色をご配慮頂けたらと思います」(女性・50代)

 VIVANTのポスタービジュアルのイメージカラー“黒地に赤文字”は、色覚異常いわゆる色盲や色弱のお客様にとっては黒のベタ塗りに見えてしまう。文字が判別しにくいというのです。この方の指摘を受け、私たちは「ユニバーサルデザイン」「配色のバリアフリー」という考え方を社内各部署に共有しました。

 番組ロゴやメインビジュアルだけではありません。テロップの色に関しても、分かりやすくしたつもりが色覚の多様性に対応できておらず、お客様によっては文字を識別できない状況、つまり情報が伝わっていない状況になっているかもしれないという学びになりました。作り手にとって、お客様の多様性を知ることはとても大切です。

 視聴者センターに寄せられるお客様の声は、改めて“宝の山”なのです。

<執筆者略歴>
菊 薫子(きく・かおるこ)
1967年生、1990年TBS入社
スポーツ局でスポーツ中継番組制作、宣伝部デジタル宣伝グループ、事業部では美術展覧会制作を経て現在カスタマーサクセス部長

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