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視聴者の声~いまどき「ママさんアスリート」?

【ジェンダーに関するものや「感動の押し付け」には批判的な声が】

村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)

 暖かい陽射しが感じられる季節となった。しかし時に強く吹く風は冷たく、世相を映しているかのようだ。

 この一か月も様々な出来事があった。ニュースや情報番組では国会討論を受ける形で、「育休中のリスキリング」や「LGBTQ+性的マイノリティ」「同性婚」に関する話題が大きく取り上げられ、視聴者からもそれぞれの立場から様々なご意見をいただいた。その中には性的マイノリティに対する誤った認識や、理解が深まっていないと感じるご意見もあり、改めて番組などでもっと取り上げていく必要性があると感じた。

 他者への理解というものは、人が成長する過程で色々な要素が影響しあい形成されていくものだと思う。願わくば子ども時代から正しい認識、情報に触れ、その心を育んでほしいし、テレビはその助けになりたいと思う。

 ジェンダーに関するご意見は、引き続きいただいている。年末年始に多くのスポーツの大会が開催され、番組が放送されたが、TBSだけでなく各局スポーツ番組全般についてのアンケートを行ったところ「女性アスリートに対してセクハラっぽいコメントがあるのは不快だ」というご意見があった。

 近年「美しすぎる○○」といった表現や「男らしい」「女らしい」といった形容詞に対しても「時代遅れな言い回しに感じる」とのご意見が届く。「ママさんアスリート」などことさらに女性を強調したキャッチフレーズもひと昔前なら美談とされたが、現在は疑問を持たれている表現であり、「子育ては女性がするもの」と決めつけているようで快く感じないという声もある。

 このほか各局アンケートではスポーツ番組関連で、実況や解説、ナレーションなどで「視聴者を無理に泣かせようとしたり、感動を押し付けるような番組作りは嫌だ」という声もあった。ここ数年で視聴者のスポーツ番組の見方が変化していると感じる。果たしてこの春のスポーツ界の目玉、WBCの中継や特集番組はどのように受け止められるのか。いよいよ開幕だ!

 バラエティ番組には多くの好評意見を頂いた。「オオカミ少年」の年の差ヒット曲バトル企画「ハマダ歌謡祭」には「楽しくて、世代問わず家族みんなで歌って楽しめました」「小学生の息子は番組を見ながら一緒にノリノリで歌っています」「Z世代の我が家の子どもたちもSNSでも聞いたことがある!これ昔の歌なの!?と一緒に番組を見て盛り上がりました」など、番組を家族で一緒に楽しむ姿が想像できるご意見をたくさん頂き、嬉しい限りだ。

 山田邦子さんが「金スマ」に初登場された回も注目を集めた。М-1で初審査員をつとめた直後で、若者の山田さんへの関心がピークに達していた時期、まさにタイムリーな出演だったということもあるだろう。

 20代の方から面白かったという声もあれば、高齢者からは「テレビがパワフルで元気だった時代、茶の間の娯楽の真ん中にあった時代で、懐かしくて楽しくてもっと見たかった」、他にも「最近の若手の方と絡んで欲しい」という感想もあり、様々な世代の方々に楽しんで頂けたことが垣間見られた。

 今やテレビ=お茶の間ではなく、それぞれが好きな端末で楽しむ時代だがそんな中でも親世代・子世代がわいわいと番組を楽しんだ、新たな発見があった、知らなかったものを知ることができた、というご意見をいただくとテレビの持つ特性を再認識する。

 視聴者からの声は宝であり、羅針盤である。4月改編も間近、新番組に対しても期待の声や要望が届き始めている。私たちは今日もしっかり想いを受け止め、現場に繋げていく。

<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長

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chousa@tbs-mri.co.jp


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