視聴者の声~放送への反映
村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)
TBSをご覧の皆様から日々視聴者センターに届くご意見は、いわずもがな非常に貴重だ。原則として、頂いた全てのご意見は社内で共有され、急を要するものは担当者に直ぐに伝達される。
生放送での間違いやミスをご指摘頂いた際は、番組責任者が居るスタジオサブに連絡、瞬時に放送の中での訂正に繋がることもある。
また、週に一回、視聴者サービス部では、各制作部門の危機管理担当者や編成、コンプラ、審査、考査部門、技術やアナウンス部門ほか社内の様々な部署のメンバーが集まる会議を開き、改めて視聴者のご意見をもとに、放送内容を振り返ることもしている。ミスや間違いの再発防止を注意喚起するのは勿論の事、番組の制作過程などに問題点がなかったかを再考したり、今後の放送内容へのご意見の反映などについても話し合っている。
先日こんな内容のご意見を頂いた。
「昨日、視聴者センターに”THE TIME,のコーナーでテロップが邪魔になって見にくいです”という意見を送ったら、早速今朝から改善されていて驚きました。視聴者に向き合っている感じがします」
前日、届いたご意見を制作現場に伝えたところ、担当者は「確かにご意見の通りだ」と、早速、次の日からご意見を反映して放送した。我々も担当者もいつも通りに仕事をし、ご意見を番組に活かさせて頂いたのだが、このような反応を頂いたことはとても嬉しかった。
ここ数年、何件か頂いた「CDTVでのグループアーチストのダンスパフォーマンス、もっと全体の動きを見たい」というカメラワークに関するご意見などは、積極的に現場で活かされ、最近は「CDTVはダンスのフォーメーションまでちゃんと見られて満足」と好評だ。
現在放映中の日曜劇場「ラストマン―全盲の捜査官―」、こちらには番組開始前から「音声による解説放送を是非つけて欲しい」というご意見を多く頂いた。もちろん初回から解説放送を付けてスタートし、ドラマは大変好評だ。
「解説放送があるのは助かります。お陰で場面がわかりやすいです」とお礼の声も複数頂いた。今の時代、解説放送を付けることは重要な視聴者サービスの一つだと捉えているが、具体的に好評なご意見を頂くこともまた嬉しい。今後も、場面がより浮かぶ、どこよりもわかりやすい解説放送を目指していければと思う。
「言葉」に関するご意見が多いのは以前もお伝えしたが、今回取り上げるのは「白昼堂々」。
都内の店舗で起きた強盗事件について、ある番組で「白昼堂々と起きた事件・・・」と紹介されたことに対して、「白昼とは真昼間であり、言葉の使い方を間違えていませんか?」というご意見があった。確かに、辺りは明るかったものの、事件が起きたのは18時過ぎ。ご指摘が正しい。
ちなみに辞書を引くと、「白昼」の意味は「真っ昼間」「まひるのこと」「正午に近い昼間」と書かれている。
ところがこの「白昼」、審査部の言葉のエキスパートである先輩が、最近話題のChat GPTやGoogle Bardに、試しにその意味を聞いてみたところ、なんと「日中」という回答だったとのこと。「日中」の意味は「日のある間」、「日の出から日没までの間」だ。
ネットで改めて「白昼」の使われ方や意味を調べてみると、「日中」の意味で捉えている表示も確かにあった。先の先輩も13種類の辞書を調べたところ、そのうち3つの辞書には「日中」という意味の記載もあったという。
これまでにも紹介したように、言葉は生き物だ。時代と共にその意味や、使われ方が変わってくることは確かにある。しかし、Chat GPTなど、AIの回答の間違いに気づかず皆が使い続けることで、多くの言葉の使われ方や意味が変化する速度が加速してしまうのかもしれないと感じた。
果たしてこれは言葉だけの問題なのだろうか?多くが恐れていることだと思うが、言葉だけでなく、歴史や、間違えてはいけない事実や不都合なことが、いつのまにか書き換わってしまうことも起きるのではないか。先日のG7ではAIにまつわるガイドラインの必要性なども討議されたが、我々は技術を使いこなせるのか、技術に操られてしまうのか、試される時代に既に突入している。
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