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視聴者の声~「不適切にもほどがある!」への賛否

【冬のドラマに寄せられる様々な声。「不適切にもほどがある!」にはこんなご意見が】

菊 薫子(TBSテレビ カスタマーサクセス部)

 冬の連続ドラマ、終盤に向かっています。

 日曜劇場は音楽をテーマに家族愛を描いた「さよならマエストロ」、火曜ドラマはテレパス能力を持つ主人公と年下韓国人男性との恋愛ストーリー「Eye Love You」、そして金曜は昭和のダメおやじが令和にタイムスリップするというコメディドラマ「不適切にもほどがある!」。

 バラエティに富んだラインナップとなりました。

 視聴者センターにはたくさんの声が届いています。

 日曜劇場「さよならマエストロ」。西島秀俊さんと芦田愛菜さんが主演です。西島秀俊さん演じる夏目俊平は若いころから海外で活躍していた天才マエストロ(指揮者)でしたが、5年前のある事件をきっかけに家族も音楽も失うことに。そんな夏目が日本に帰国し、地方のとある楽団の立て直しに関わることとなり、疎遠になっていた娘・響(芦田愛菜)との関係をも修復していくというストーリー。

「第1話見ました。日曜劇場らしく、王道でベタな展開に落とし込みつつも、繊細さの感じられる脚本・演出ですね。芦田愛菜さん、演技が化物(反抗期思春期トラウマ的演技うま過ぎ)です。西島秀俊さんもマエストロに見えます。演奏も、潰れかけの市民オーケストラもそれなりに名演奏となっていて良かったです(40代・男性)」

「久しぶりに面白いすてきなドラマに出会いました。優しくて温かく家族全員で見られるドラマです。ドラマに合わせて流れるクラシックも心地良いです。タイトルが出る画面が毎回違うので、こんなところにも楽しみがあるかと驚きました。芦田愛菜さんは小さな頃から大人の演技で、等身大の娘役がハマり役だと思います。夏目一家は理想の家族です。皆がハッピーな結末でありますように(50代・女性)」

 実はこの「さよならマエストロ」、一番多いご意見というのが「もっと愛菜ちゃんの笑顔を見せて」というリクエストなのです。

「ストーリーの前提として、娘・芦田愛菜さんと父・西島秀俊さんの関係が不仲なので娘は常に不機嫌。芦田愛菜さんの笑顔が見たい(70代・男性)」

「芦田愛菜さんが演じる娘の役どころがあまりにも・・・。そろそろ娘の思春期を終わらせてあげてください(60代・女性)」

「芦田愛菜さんの笑顔の優しい演技がこのあとたくさん出てくることを願います(50代・性別不明)」

 子役時代から芦田愛菜さんの愛らしい笑顔に癒されてきたファンならではの素直な声、孫を見守るような目線なのでしょう。第5話を見て「やっぱり芦田愛菜さんには笑顔が似合うと思いました。最後のシーンで家族全員、4人で食事をするシーンがよかったです。何にしても芦田愛菜さんは笑顔が似合うと思います(70代・男性)」という声を寄せられた視聴者の方もいました。

 笑顔と言えば、火曜ドラマ「Eye Love You」。二階堂ふみさん演じる侑里と恋に落ちる韓国人男性テオ(チェ・ジョンヒョプ)の笑顔にメロメロになっているファンの方、多いです!

「本当に最高です。チェ・ジョンヒョプさんのカタコトの日本語がかわいくて本当にキュンキュンしました。面白さもあり、ほっこりあたたかくて、キュンキュンして、毎週このドラマを見られることが私の楽しみになりました(30代・女性)」

「毎週見ています。韓国人俳優さんの演技がとてもかわいいので大ファンになり、録画もしながら見ています(70代・女性)」

 テオのストレートな愛情表現に学んだという男性からも。

「普段全然ドラマを見ない私が毎週楽しみにしながら見ています。気持ちを素直に伝えることの大切さをユン・テオ(チェ・ジョンヒョプさん)から学びました。Omoinotakeが歌う主題歌の「幾億光年」という曲もドラマとマッチしていてとても良いです(30代・男性)」

 そしてこのドラマで一番多いご意見というのが「テオの心の声の日本語訳字幕を出してほしい」というもの。

 目を見るとその人の心の声を読めてしまう特殊能力を持つばかりに恋に憶病になっていた侑里ですが、韓国語のテオの心の声は理解することができない。相手の気持ちが分からないという当たり前の恋を経験することになるのです。

 テオの韓国語の心の声には日本語字幕が出ません。視聴者に侑里と同じもどかしさを体験させるという演出なのでしょう。

「演出だと思うので難しいことは承知しているのですが、ユン・テオの心の声に字幕をつけてほしいです。気になって仕方がありません(60代・女性)」

「テオさんの心の声を字幕表示してください。せっかくのキュンキュンなせりふなのに残念です。是非お願いします(50代・女性)」

 配信では『テオの“心の声”字幕付きSPバージョン』を公開しています。それでも「地上波でも字幕が見たい!」という要望が今も届いています。

 金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」【主演・阿部サダヲ × 脚本・宮藤官九郎 昭和のダメおやじが令和にタイムスリップ!意識低い系タイムスリップコメディ‼昭和のダメおやじの「不適切」発言が令和の停滞した空気をかき回す!】(番組公式HPから)

 実は今期で一番厳しいご意見が集まるのではと視聴者センターで身構えていた作品がこの「不適切にもほどがある!」でした。

 カスタマーサクセス部は編成考査局内にありますが、この編成考査局は他に審査部、番組考査部があり、3部の組織となっています。

 審査部の業務のひとつがドラマの脚本チェック。それこそ“不適切”な表現・演出などがないかをチェックするのです。

 1月ドラマにクドカン脚本ですごいのが来るぞ、ということは脚本チェックの段階で編成考査局では共有されていました。放送を実現するために各所丁寧な調整があったことも聞いています。

 そしていよいよ放送開始。XなどSNSでの反応を見ながら放送をチェック、放送翌朝にはオペレーターから上がってくるご意見データに目を通します。

 しかし意外にも(というのも何ですが)ネガポジの比率は1:2、炎上するかなと思っていた予想は外れました。

 「チョメチョメって何?と娘に聞かれる。子どもと見られないし教育上良くない」「暴言や暴行を肯定するのか」「SDGsを謳うTBSがこういうドラマを放送していいのか」などの厳しいご意見はありますが、一方で楽しんでくださっている方々の熱量が高いのです。

「いいね、こういうドラマ。もっと作れ。物議を醸すようなドラマを作れ。規制が厳しすぎる。だからテレビはつまんないんだよ(60代・男性)」

「今の時代が生きにくい世の中になっていることを、昭和時代を必要以上に美化せず対比させているのが良かった。今後の展開とミュージカル風画面、合わせて楽しみです(70代・女性)」

「これヤバいだろうな~という場面も、注意喚起テロップが…これがまた笑いを。小学生の娘が面白大好きで1話目でハマり「チョメチョメって何?」…スルーしましたけど言わなくても理解しましたね。娘、「オッパイ」のせりふも笑い転げてました。下ネタバンバン、たばこやデリカシーがない場面、もういいやって子どもと一緒に見て楽しんでしまってます(50代・女性)」

若い世代からのご意見も届いています。

「昭和と今の価値観の違いや暮らしの違いが見比べられるのがサイコー。今は昭和を引きずっている社会の膿がいっぱい出ているし、SNSは一方的なコメントが多すぎ。コメディーで、古い価値観や新しい価値観の洗い出しをするのはタイムリーで上手いと思う(30代・男性)」

 そして放送回も中盤を迎え、阿部サダヲさん演じる昭和のダメおやじのドタバタが目立ったストーリーも阪神・淡路大震災を起点とする切ない展開に。

「予想外の切ない展開になって第5話では涙が出ました(50代・男性)」

「第5話の阿部さんが仕立ての良いスーツを着たシーンには泣けました。これからの展開も楽しみ(40代・女性)」

 配信の週間ランキングでは3ドラマともベスト5に入る健闘を見せているとか。ドラマ終盤に向けて視聴者の期待も高まっているようです。

<執筆者略歴>
菊 薫子(きく・かおるこ)
1967年生、1990年TBS入社
スポーツ局でスポーツ中継番組制作、宣伝部デジタル宣伝グループ、事業部では美術展覧会制作を経て現在カスタマーサクセス部長

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