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視聴者の声~秋ドラマ・「推し」への熱い想い

【「推し」に熱中する方々からも、多くのご意見を頂く。屋外パフォーマンスを行なったグループに寄せられた声とは】

菊 薫子(TBSテレビ カスタマーサクセス部)

 秋の連続ドラマが最終回を迎えました。今月中旬から冬ドラマスタートとなります。

 秋ドラマの日曜劇場は『下剋上球児』でした。今もなお人気の高い『VIVANT』の後番組となり注目度が高かった作品ですが、弱小高校野球部の甲子園への挑戦を描き、放送回を重ねるごとにご意見が増えていきました。

「感動をありがとうございます。『VIVANT』の圧倒的なスケール感と迫力、ストーリー展開のすばらしさに対し、『下剋上球児』は人間臭く、胸が熱く感動するドラマでした。鈴木亮平さんと松平健さんの存在感と迫力、すごかったです」(40代・性別不明)

 ドラマの原案となった高校の地元の方からは「地元にこんな素晴らしい高校があること、鈴木亮平さん演じる南雲先生のモデルとなった先生がいることが私の誇りです。素晴らしいドラマにしてくださって感謝しかありません(50代・女性)」という声も寄せられました。

 野球中継を見るかのような試合のシーンに気持ちが高ぶった視聴者も多かったようです。

 視聴者層によって感想が分かれた印象があったのは火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」です。広瀬アリスさん演じるアラサー女子が“学び直し”を決意、ドン底OLから30歳の大学生に。第二の青春を描くストーリーでした。

「若い子たちに混ざって頑張る主人公がとても魅力的でした。私も2回学校に行っているので共感しました。年齢のギャップの中で勉強したり覚える大変さが良くわかります(30代・女性)」

「白玉佐弥子の30歳にして2度目の青春に共感できる点が多く、毎回心をギュッとさせる内容でした。小笠原拓を演じるなにわ男子・道枝駿佑さんの演技もすばらしく、ひとまわり違っても、かけがえのない友情に感動しました(60代・女性)」

 主人公に感情移入した大人世代の女性からの意見が目立ちました。その一方で、主人公と恋に落ちる年下の大学生役・道枝駿佑さんの熱心なファンの方からは、キスシーンは見たくなかった、ファンの気持ちは無視ですか?(10代・女性)などの切実な声もちらほら。

 視聴者センターに届くご意見は、時事問題に言及する50代、60代の方の声が多いのですが、それと同じくらいの割合を占めるのが“推し”を応援するファンの方々からの声です。

 カスタマーサクセス部では、出社するとまず夜間のうちに届いたご意見をチェックすることから業務が始まります。ある朝、いつも通り夜間の受信数をチェックしたところ、普段の5倍近い数が届いていて驚きました。

 何事かと思って見てみると、それは『CDTVライブ!ライブ!』へのご意見。

 数組のアイドルグループがイルミネーションをバックにパフォーマンスを見せてくれた放送回でした。

「JO1のパフォーマンス演出について。本人たちよりもイルミネーションばかり映し出され本人たちの顔やパフォーマンスがしっかり見られないカメラワークでした。アーティストさんたちは毎日長い時間をかけ練習しているのにそのダンスがよく映らないこと、さらにこの日の放送はとても寒い中外でのパフォーマンスで、彼らや楽しみにしている視聴者に対して失礼だと感じました(20代・女性)」

「冬場の屋外はアーティストがかわいそうです。年末に向かって体調が心配になります。せめて屋内にしていただきたい。イルミネーションがきれいですが、私はアーティストが見たいです(60代・女性)」

 体調を心配するファンの声が多数!カメラワークに関する厳しいご意見は特にダンスグループのファンからは放送ごとに届きます。しかしこの日の放送回では、極寒の中でパフォーマンスさせたことに対する非難、“推し”が体調を崩したらどうするのだ、という声が一気に届いたのです。

 12月は年末の特番シーズンです。毎年恒例の「SASUKE」が5時間に亘って放送されました。芸能界、スポーツ界、人気YouTuberやTikTokerなどのインフルエンサー、海外版SASUKEの覇者、オーディションを勝ち抜いた一般参加の方々など100人が出場し盛り上がりました。

 収録に数日掛かるわけですから、その全てを放送するのは不可能です。ですが“推し”の登場を今か今かと待ちながらカットされたファンの気持ちも分からないではありません。

 放送翌日にはその健闘がきっちり放送された出場者のファンからは熱い御礼メールが、推しがカットされてしまったファンからはお怒りの声が毎年届きます。今年はネットのインフルエンサーのファンの声が目立ちました。テレビタレントとネットインフルエンサーの共存の時代だなと感じます。

「出場者の一人、髭達磨・荒川太一さん(53番)を全カットしないでほしかった。アイドルとかに時間かけるなら他の人も少しは出す努力をしてほしかった(10代・男性)」

 なんとなくテレビをつけている時代ではなくなり、多様なメディアやデバイスでコンテンツを見られるようになった今だからこそ、ファンの存在は、お客様としてとても貴重です。

 いただいたご意見を読んでいると、ファンの皆さんは“ながら見”をせず細かな演出までじっくり観ているなと感じます。そんなファンの方々からの厳しいご意見や指摘は的を射ていることが多く、日々の日報で現場と共有しています。そしてすぐにコンテンツに反映されることも少なくありません。

 今年もファンの方々から寄せられる厳しいご意見、お褒めの言葉に学びを得ながら、お客様と制作現場の懸け橋になっていきたいと意を強くしています。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

<執筆者略歴>
菊 薫子(きく・かおるこ)
1967年生、1990年TBS入社
スポーツ局でスポーツ中継番組制作、宣伝部デジタル宣伝グループ、事業部では美術展覧会制作を経て現在カスタマーサクセス部長

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