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視聴者の声~ジェンダーや子どもをめぐるご意見

【2022年はジェンダーに関するご意見が増えた年だった。一方、年末の音楽番組にはこんなご意見も…】

村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)

 新しい1年が始まった。街には人も多く、今年のお正月は久しぶりに帰省して家族と一緒にテレビを見られた方もいらしただろう。昨年はウクライナ侵攻、値上げラッシュなど重いニュースをテレビからお届けすることもとても多かったが、今年はいかなる1年となるのか。視聴者から届くご意見から何が見えてくるのか、背景にはどんな視聴者の意識があるのか、今年もまたこれを読んでくださる皆様とともに考察していければと思う。

 年末の音楽番組にはこんなご意見を頂いた。「アーティスト名だけではなく、ダンスの振り付けの方の表記もお願いします。だれの振り付けなのか注目しています。」確かに昨年末の日本レコード大賞を受賞した「SEKAI NO OWARI」の「Habit」はダンスも大きな話題だったし、昨今ダンスボーカルグループも多く、ヒットソングにダンスは欠かせない存在となっている。

 以前に比べて実際にダンスになじみのある視聴者も増えているだろう。TikTokなどで多くの人が気軽に踊って見せる時代、振り付けにも注目が集まるのは当然だ。アーティストグループのダンスを引きで見せるカメラワークに対して、「普段はあまり見られないので嬉しかった」というお礼のメールも届いていた。

 この1年を振り返ってみると、ジェンダーに関しての偏った価値観に対するご意見も増えた。「料理はお母さんの仕事」「子どもの病院に付き添うのは母親」といったいわゆるアンコンシャスバイアスがかかった発言や「男の子が好きな鉄道のおもちゃ」などのナレーション等に関しても視聴者から疑問の声が届く。条例や法律の改正も必要だが、生活の中にあるテレビから意識を変えることが大切だと確かに思う。

 事件や政治に関しての想いは常によく届くが、とりわけ「子ども」に関してのニュースは視聴者の心をゆり動かす。昨年は、残念ながら子どもが巻き込まれた痛ましい事故が多くあった。

 保育園での虐待がニュースになった際には、「事件の根本がどこにあるのかという点を追及してほしいです。働く環境にも問題があるのかもしれません。保育園単体で解決できる問題ではなく、国や地方自治体としても取り組むべき問題ではないでしょうか」という内容のご意見を複数いただいた。

 実際、この事件の後に別の施設でも同様の事件が起こっていたというニュースが続き、問題の根深さが世に露呈した。子どもは感受性も強く、時に言葉では表せないような人の感情を感じ取るところさえある。子どもを取り巻く生活環境や教育に関して、早急に対応を考えるべき大きな課題が突き付けられていると言えるだろう。

 昨年は明るい話題を提供したW杯サッカーに関するご意見も多かった。「右足のアウトサイドとはどこを指すか、という説明を自身の靴を脱ぎながら恵さんが説明してくれたり、フリップボードを使って土井アナウンサーが丁寧に解説する様子など内容が濃く素晴らしかった」とか「どこよりも早くゴールキーパーの権田選手をスタジオゲストに呼んでくれてありがとうございます」など数々の好評のご意見をいただいた。 

 一方で「サッカーばかりでなく、もっと伝えるべきことがあるのではないですか」というご批判も少なくなかった。この冬は円安、物価高に悩まされてきた上に、防衛費増額や、年末には金利上昇のニュース、コロナ感染者も増えてきた。これらについてもっと取り上げて欲しいというご意見だ。子どもの貧困問題も常に大きな課題として存在している。

 今年、TBSではWBCを放送する。W杯サッカーのように、選手の頑張る姿に感動したり、皆が少しでも明るい気分になれることを期待したい。W杯でプレイ以外に私が個人的に印象深かったのは森保監督のサポーターに対する発言や行動だ。

 日本の最終試合となってしまったクロアチア戦のあとに日本のサポーターの応援席前で深く一礼をしている写真は海外でも大きく取り上げられたが、試合後のインタビューでも常にサポーターへの感謝をしっかり伝えていた。

 当たり前といえばそれまでだが、その姿勢は現地へ応援に行った人のみならず、日本で見ていた人にも十分伝わったのではないか。ファンを大事にする姿勢を言葉や態度ではっきりと示す・・・我々テレビに携わる者も見習うべきところが多いと感じている。

 年末の特番には「家族と一緒に見て話題にできる番組をありがとうございました」「とても楽しくて、声を出して大笑いしました」というご意見も散見された。TBSの番組を見ていただいて、明るい気持ちになれたり、世の中が少しでも良い方向に向かうきっかけになれたり、勇気がわいてきたり、しばしつらいことが忘れられて笑顔になれたり、今年もそんなことに繋がれば嬉しい限りだ。

<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長

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