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オミクロン株について
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オミクロン株について

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【オミクロン株による感染が広がる中、その性質を正しく理解したうえで、備えるべき点、注意すべき点は何か】

忽那 賢志 (大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学講座教授)

 オミクロン株はスパイク蛋白の遺伝子に30もの変異があり、このうち15か所の変異は感染成立に関わる受容体結合部位に存在しています。
 これまでの変異株と同様に、オミクロン株でも感染力の増加や、過去の感染やワクチン接種によって付与された免疫を回避する能力の増加が明らかになってきています。

続く世界での感染拡大

 オミクロン株による感染者は世界中で拡大を続けています。
 2021年12月28日時点で、119カ国でオミクロン株による感染者が報告されています。
 日本国内でも12月22日に大阪府内で国内感染例が確認されて以降、京都、東京と市中感染が少しずつ広がってきている状況です。

 CDCが発表したゲノム配列データによると、米国内でオミクロン株が急速に増加していることが示されています。
 11月27日の週に0.1%だった割合が、12月4日の週には0.7%に上昇し、12月11日の週には12.6%、12月18日の週には73.2%と急激にオミクロン株の占める割合が増加しています。
 実にわずか1ヶ月でデルタ株からオミクロン株への置き換わりが起こっており、今後日本国内でもこういったことが起こり得るということを考えておかなければなりません。

 オミクロン株がすでに主流になっているイギリスでは感染者が急増しており、1日当たり10万人以上の新規感染者数となっています。京都大の西浦先生らがデンマークのGISAID登録データを利用した解析では、オミクロン株の実効再生産数はデルタ株の3.19倍であった、という結果が厚生労働省のアドバイザリーボードで報告されています。
      
 また、イギリス、デンマーク、南アフリカでは症例数が2倍になるまでの時間(倍加時間)も1.5〜3日と極めて速いペースで感染者が増加しており、日本でも同様のことが起これば、第6波は避けられない状況となります。

【引き続き<今後の懸念と有効な対策>に続く】

病原性が弱まっている可能性はあるが・・・

 一方で、病原性については弱まっている可能性が指摘されています。
 世界で最初に流行が始まった南アフリカ共和国からも重症化に関する査読前の報告が発表されています。
 オミクロン株の感染者は、デルタ株と比較して入院リスクが0.2倍、重症化リスクが0.3倍であった、とのことです。

 ただし、これらの結果はワクチン接種や自然感染によって得られた免疫の影響が大きいと考察されています。

 従来の変異株よりも重症化しにくいかもしれない、という点は吉報ですが、決して重症化しないわけではありませんので、感染者そのものが爆発的に増えてしまえば医療機関の逼迫は起こり得るということになります。
 また、これまで以上に重症者病床よりも軽症者の宿泊療養施設や中等症病床の需要が大きくなってくることが予想されます。

懸念される「第6波」を最小限にするために

 日本国内でも12月からブースター接種が開始されましたが、オミクロン株の拡大によって懸念される第6波の規模を最小限にし、重症者を減らすことが重要です。
 ファイザーで2回ワクチン接種を受けた人は接種後経時的に発症予防効果が落ちていきますが、ブースター接種によって再度発症予防効果が高まります。

 2回の接種だけでも重症化を防ぐ効果は保たれていると考えられますが、特に高齢者においては重症化予防効果も経時的に低下していることが分かってきています。
 オミクロン株の広がりが懸念される中、今はとにかくブースター接種を、特に高齢者に進めていくことが重要になります。

 また、ワクチン接種後もこれまで通りの感染対策は続けるようにしましょう。
 手洗いや3つの密を避ける、マスクを着用するなどの感染対策をこれまで通りしっかりと続けることが重要です。

<執筆者略歴>
忽那 賢志(くつな・さとし)
1978年生まれ。2004年山口大学医学部卒。
感染症専門医。国立国際医療研究センターを経て、2021年7月より大阪大学医学部 感染制御学。感染症全般を専門とするが、特に新興感染症や新型コロナウイルス感染症に関連した臨床・研究に携わっている。近著に『専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話』(幻冬舎)。

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