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視聴者の声~震災発生への対応

【元日に発生した「能登半島地震」。視聴者の方々から、多くのご意見、情報が寄せられた】

菊 薫子(TBSテレビ カスタマーサクセス部)

 令和6年元日の夕方、北陸地方を中心に大きな地震が発生しました。カスタマーサクセス部視聴者センターは年中無休でお客様対応をしており、元日も通常のオペレートをしている中、地震特番に切り替わりました。

 各局の地震特番をモニターしながら、体制を整えます。

 ほどなく令和6年能登半島地震特番をご覧になっている視聴者からの入電が増え始めました。

「地震のニュースを伝えているアナウンサーが早口すぎる。アナウンサー自身が焦っているように感じる。もっと落ち着いて情報を伝えてほしい(60代・男性)」

「テロップでいいので英語で危険を知らせてください(50代・女性)」

「ブレーカーを落として逃げるようにと伝えてほしいです。火事を防げると思うのでお願いします(60代・女性)」

 地震特番を放送開始した直後、報じ方に関するご意見の中にはこのような声もありました。

「私は東北の震災ですべてを失いました。地震のニュースを伝えているアナウンサーが『東北の震災を思い出して下さい』と言っていますが、私たちにとっては思い出したくない思い出です。フラッシュバックして思い出してしまうのでやめてほしいです(60代・女性)」

 東日本大震災の時、初手の報じ方について危機感の伝え方が足りなかったのではという反省がありました。その反省から出た表現です。視聴者センターはもちろんそれは承知の上、こういう声も届いているということを知らせる意味で担当部署にリアルタイムで共有していきました。

 この日TBSでは『バナナサンド元日SP』『ドリーム東西ネタ合戦』などの正月特番を組んでいました。しかし大津波警報が発出されていたことから、これらの番組を飛ばし地震特番を継続することになりました。

 視聴者センターには正月特番を楽しみにしていた視聴者からのご意見が届き始めます。多くのお客様は地震被害の甚大さを理解しており、なので放送しないことへのご批判より、後日放送して欲しい、変更後の放送日時を知らせて欲しいという要望が目立ったように感じます。

「『バナナサンド』の元日SPが地震の関係で放送が中止されたと思います。やむを得ない事情であり、そのこと自体は仕方ないと思いますが、ずっと楽しみにしていた特番ですので、是非延期で放送、またはTVerなどの配信だけでもしていただきたいです(10代・女性)」

「どうしてTBSだけは、延々と地震番組を放送されているのですか?他の局は通常に切り替えてるのに。『ドリーム東西ネタ合戦』を見たいのですが、遅れて放送ですか?それすらどこにも書いていない。HPなどで知らせてください(50代・男性)」

 これらの声は現場にも届いており、放送中止のお知らせや変更された放送日時の情報はHPやXで告知されました。

 一方でTBSが地震特番を続けたことに対するお褒めの言葉もありました。

「TBSとNHKは地震発生から丁寧に詳細を伝えてくださったことに感謝したい。他局はこんな事態でも内容変更せずとても不快に感じた。これからもTBSを応援します。頑張ってください(70歳以上・女性)」

 テレビが情報メディアとして重要な役目を担っていると改めて感じるご意見も多数届きました。テレビの力に期待する声の数々でした。

「首都圏に住む石川県出身の者です。石川県能登町の宇出津の被害状況などについて知りたいです。取材に行っていただけないでしょうか?上空からでもかまいません。なんとしてもこの町の被害状況が知りたいです。どうかお願いします(20代・男性)」

「能登島に親戚が住んでおります。島には橋が2本架かっていますが、地震で渡れなくなっているそうです。報道もされないため状況がまったくわかりません。できれば、能登島を取材して、どういう状況か伝えてほしいです(60代・男性)」

「千枚田の道の駅に72人以上の人が孤立しています。ガソリン、食料、水、オムツ、寒いので毛布とカイロがほしいと連絡が来ました。県庁の災害本部に何度も連絡しましたが、いまだ何もないとのこと。小さな子どももいます。是非避難所のことばかりでなく、車の中で孤立している人たちのこともニュースにしてあげてほしいです(50代・女性)」

 また、Xの投稿に関連したご意見も。救助を求めている避難所や孤立した町の方々のXの投稿を引用し、助けてあげて欲しいという要望、孤立情報がヒットするXのハッシュタグ(#)から情報を追跡して報じてほしいという声など。これら情報提供は全て現場に繋いでいきました。

 取材に行くのなら物資を持っていくべき、被災地に番組ごとのキャスターやスタッフを送り込むのは迷惑ではないか、わざわざ東京から行かなくても地元系列局の記者のリポートで十分なのではないか。あるいはキャスターの現地での服装、アクセサリー、ヘルメットの被り方に言及する声まで。

 報道の現場は被災地の方々の状況、心の状態を最優先に考え、細やかに配慮しながら取材し報じていることをオペレーターはみな知っています。しかし、どんな厳しいご意見でもお客様の方から電話を切るまで、その声に耳を傾けることが視聴者センターの役割だと認識しています。

 そんな中このようなご意見もあり、ありがたく感じたものです。

「ありがとう。地震びっくりしました。事情あって一人です。いつもの平日に見ていた『Nスタ』井上貴博アナウンサーと日比麻音子アナウンサーお二人の姿を画面で見たとき泣きそうでした。なんだか安心します。また、心のケアについてもお話されていてじーんとしました。事実を冷静に伝えてくださりありがとうございます(40代・女性)」

「南波雅俊アナウンサーが現場から、あるご家族の話を言葉を詰まらせながら伝えているのを見ました。アナウンサーが感情を表すのはタブーだ、などと言われることもあると思いますが、私はそのご家族の辛さや後悔が、南波さんを通して痛いほど伝わりました。被災された方々ももちろんですが、取材される皆さんも心身共に大変かと思います。どうか安全とお体と心に気をつけてお過ごしください(30代・女性)」

 今も多くの方がつらい避難生活を強いられています。視聴者センターでは震災に遭われた方の声を直接聞くこともあります。心からお見舞いを申し上げるのと同時に、視聴者センターとしてどんな時もお客様に寄り添い、社内にその声を届ける役目を果たしたいと再認識しています。

<執筆者略歴>
菊 薫子(きく・かおるこ)
1967年生、1990年TBS入社
スポーツ局でスポーツ中継番組制作、宣伝部デジタル宣伝グループ、事業部では美術展覧会制作を経て現在カスタマーサクセス部長

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