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視聴者の声~WBC、東日本大震災

【日本中が注目したWBC、発生から12年になる東日本大震災。様々な声がテレビ局に届く】

村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)

 侍ジャパンが、ダルビッシュ選手~大谷選手の夢の継投リレーで有終の美を飾り、それに合わせたかのように東京の桜が例年よりも早く満開になった。

 WBCでの侍ジャパンの活躍は日本に世界に、夢と希望、そして花のような笑顔をもたらし、もうこれ以上の展開は無いというほどドラマチックに幕を閉じた。

 「侍ジャパンに感動して涙が出ました。この感動をありがとう!」「野球ってこんなに面白いんですね。解説を聞いてキャッチャーも凄いということを初めて知りました。これからも野球を見ます」「介護で疲れ果てていましたが、勇気の出るプレーを拝見でき、活力を貰いました」

 「かつてのように祖父母から子どもたちまで、家族皆でテレビを囲んで、わいわい言いながら楽しみました」「患者さんたちが今日は皆テレビの前で応援していて、普段は静かな病院がとても活気づいていました。テレビは人の心を高ぶらせてくれるものがあると実感しました」

 TBSでは中国戦、韓国戦、準決勝のメキシコ戦を中継、準決勝と、決勝のアメリカ戦はゴールデンタイムでの緊急特番も放送した。

 「同じ野球の試合を再度見ることが、こんなに面白いとは。まるで映画のような3時間だった」

 視聴者の皆さんもそれぞれの場所で今回の試合に心揺さぶられ、侍たちの活躍から元気や勇気をしっかり貰ったことが伝わってきた。因みにTBSで中継した21日の準決勝の試合は朝晩の試合で、のべ8972万人もの方にご覧いただいた。

 また、大谷選手のみならず、岩手出身佐々木朗希選手の奮闘も東北の方々には特別だったのであろう、WBCの中継は他地域より、東北のそれぞれの地域でも大きな注目をもって見られていたことも分かった。

 東日本大震災発生から12年目の3月11日、今年はWBCへの様々な期待のなかで迎えたが、TBSテレビでは「東日本大震災12年プロジェクト つなぐ、つながる」をスローガンに「Nスタ」「報道特集」など各報道番組でスペシャル番組やコーナーを企画した。

 津波で母を亡くした経験を経て、自身も母となり、震災当時のことを今に伝える記者、幼少期に震災を経験し、今は保育士として子供の命を預かる女性などの思い。また昨年、人気を集めたTBSドラマ発のボーイズグループ「8LOOM」のメンバー宮世琉弥さんが、小1の震災時、津波に流されたものの、奇跡的に命をつなげた実体験も現地で語られた。

 「子どもから震災について聞かれるようになり、家族で一緒に見たが、体験者からの生の言葉を聞くことで、子どもの心に確かに響くものがあったと感じました」また「12年が経ち、人々の関心が薄れている。もっとテレビのような影響力のある媒体で継続して伝えていくべきだ」と風化を心配する声もあった。スポーツも報道も、我々がしっかりお届けしていくべき番組であることに違いはない。

 3月は別れの時期でもあり、親しまれてきた番組が惜しまれつつ最終回を迎えた。土曜の朝の「まるっと!サタデー」には「疲れ切った土曜の朝に楽しく幸せになれる番組でした。出演者皆さんのアットホームな雰囲気に癒されました」

 日曜の「炎の体育会TV」には「沢山の選手の素顔やさまざまなスポーツの素晴らしさを知ることができて毎回楽しみにしていました。11年半ありがとう。特番で必ずまた戻ってきてください!」

 「コロナ禍でどこにも行けない時期にも、楽しい旅行気分を味わえた『7つの海を楽しもう!世界さまぁ~リゾート』は、出演者、ナレーション、どこをとっても他には無い魅力がありました」

 おなじみの帯番組のリニューアルや新番組に関する、視聴者の方々からの感想も楽しみである。変化と言えば、今回のTBSのWBCの中継では、普段は野球を見ない方もテレビで試合をご覧になることが予想されたため、画面の左上に「ルール・野球豆知識」として「スライダー」「ツーシーム」などの野球用語の解説を初めて表示した(リモコン青ボタンで解除可能)。

 「この心遣いで初心者の自分も野球を楽しめました。今後の中継でもお願いします」。局に届いたご意見はもとよりSNSでも「これはナイスです」「ありがたい」など多数のお誉めの言葉を頂いた。これからのスポーツ中継に一石を投じる試みとなったように感じる。

 テレビは子どもたちに様々な可能性や考えを呼び起こさせるきっかけであって欲しい。東京でWBCを応援していた小学生が、奇しくもインタビューで「中学で入る部活に迷っていたんですけど、試合をみて、やっぱり野球部に入ることに決めました」と応えていた。

 世界一を目指し、夢がホントに叶うことをチームで教えてくれた侍ジャパン。子どもたちの夢を信じるチカラに繋がったはずだ。大谷選手やたっちゃんことヌートバー選手たちがそうだったように。将来WBCで活躍する選手が誕生することに繋がるかもしれない。そんなきっかけになる素晴らしい試合をお届けすることが出来たのは、この上ない喜びだ。

<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長

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