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視聴者の声~北京五輪、コロナ

【北京五輪とオミクロン株に関するご意見が多かった2月。テレビ局が大切にしたい「わかりやすさ」とは】

村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)

 2月、オリンピック期間中の番組はいつもと違う編成、さらには「ジャパンコンソーシアム」という特別な実況体制もとられる。日本の放送局がワンチームとなり、各局のアナウンサーが局を超えて実況する、つまりⅩ局の試合中継でZ局のアナウンサーが実況をするという珍しいことが起こるのである。

 そんな中、他局で放送されたTBSのアナウンサーの実況に対して嬉しいご意見を数多く頂いた。NHKで生放送された男子スノーボードハーフパイプ決勝。平野歩夢選手の金メダルをかけた戦いに日本中が熱くなったこの大一番を担当したのがTBSの新夕悦男アナウンサー。実況中に飛び出した名言「人類史上最高難度」はツイッターのトレンド入り。同時に「難しい技を的確に把握して伝えてくれた」と、スノーボードファンのみならず幅広い層の視聴者から数多くのお褒めの言葉が視聴者センターに届いた。

 試合後、平野歩夢選手の技や競技について、各番組で様々な解説が繰り出された。手作りの模型やしかけを使ってのニュース解説が好評の「サンデーモーニング」では、今回も世界で平野選手ただ一人が成功させた「トリプルコーク1440」という大技について模型を使って解説、その説明がとても分かりやすかったというご意見も多く頂いた。

 スノーボードはZ世代をはじめ若い世代に人気の競技だが、テレビでのわかりやすい解説によって幅広い年齢層に競技の魅力が伝わったとすれば嬉しい限りだ。

 オリンピック中もオミクロン株の感染拡大は続き、コロナに関してのご意見も多く頂いた。マスクとウイルスの飛散に関し各番組で、富岳のデータを用いて解説した際には「データをもとにした裏付けがあったので、マスクの重要性が改めてよく理解できた」という声が届いた。

 この「わかりやすい」ということはテレビのニュースや情報番組などにおいては非常に大切だ。言葉に関してはなるべく平易で、誰にでもわかる言葉を使用し、難しいことをわかりやすく説明することを常に心がけている。その為に図やグラフ、絵などを用いて、説明する様は日常よく見られる光景だろう。

 誰でもどこででも見られるテレビの視聴者は年齢層も幅広く、正に多様。そんな多くの視聴者に対し、耳慣れないアルファベットだけの略語やある分野の専門用語などを使用する際には、『○○という意味で用いられる□□という言葉ですが』と説明するなど細やかな配慮が必要である。

 その一方で視聴者の中には専門的な知識をお持ちの方もいる。わかりやすい言葉で、正しく伝えつつ、より深みのある説明や解説が繰り出せなければ全ての視聴者に満足はしてもらえないだろう。これはまさに我々の努力すべき点である。

 YouTubeのような手軽さでテレビをより多くの方に見てもらいたいと思ってはいるが、ご意見に日々触れているとインターネットメディアに要求されているものと、テレビに要求されているものは少し違うのだろうと感じる。災害時やニュースなどの情報においてはネットからの情報よりもテレビの方が信頼をおけると感じていただいているというアンケート結果もある。

 「コロナの3回目の接種について、モデルナとファイザーの副反応の違いや効果についてもっと詳しく教えて欲しい」「フィギュアのドーピング問題に関して、ネットの憶測などではなく、真実を知りたい」といった内容の要望が届くのもそのためだろう。

 かゆいところまで手が届く演出や解説、世界基準での多様性にも配慮することが求められていると同時に、何よりも、期待して下さる視聴者の信頼を裏切ることがないように、常に気持ちを引き締めてコンテンツ制作に向き合っていくことが大切だ。そのためにも私たちは視聴者のご意見を受けて、今日も現場と様々なことを協議している。

<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長

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