視聴者の声~震災11年、ウクライナ
【ドラマに寄せられた、いつもと少し違うご意見。東日本大震災報道とウクライナ情勢にも多くのご意見を頂いた】
村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)
3月、話題を呼んだ人気の連続ドラマもそれぞれ山場を迎え、各番組好評なご意見を頂いた。
いつもと少し違ったご意見を頂いたのは火曜ドラマ「ファイトソング」。登場人物が日常の会話をするために使用していたあるアプリに関して、自分が、或いは聴覚障がいのある友人や家族に、是非紹介したいというお問い合わせが放送翌日相次いだ。ドラマをきっかけに、誰かのために何かをしたいと考える人がいることを知るのは嬉しい限りだ。
視覚障がい者の方々からは老若男女問わず、「TBSのドラマは面白いので是非解説放送をつけて欲しい」というご意見が複数届いた。
3月11日の夜に第8話が放送された金曜ドラマ「妻、小学生になる」にはこんな内容のご意見も届いた。「今夜のドラマの内容は震災の日を思い出し、特に感慨深かった。死者の魂に対して一番大切なことは何かを考えさせられました。今を一生懸命に生きる事が犠牲者のためでもあるということをドラマの小学生から教えられたような気がします」
東日本大震災についてのご意見
今年は東日本大震災から11年目、TBSでは『NスタSP 東日本大震災11年「つなぐ、つながる」』という特番を放送、各ニュース、情報番組でも「つなぐ、つながる」の特集を放送した。
「福島の人の苦しみを忘れないためにも、3月11日だけでなく定期的に福島の問題を取り上げて欲しい」「福島はソフト面では復興されておらず、現地では、東日本大震災は終わっていません。少しでも各番組で特集を放送してください」という切実な声も頂いた。
伝え続けなければいけないことがあること、そして、誇張するわけでも、美談に仕上げることでもなく、事実をしっかり報道し、人々に届け続けることの大切さを忘れてはいけないと、改めて思わせてくれるご意見でもあった。
ウクライナ情勢
なんといってもこの時期、多かったのはウクライナ情勢に関する様々なご意見だ。コロナに関するご意見を上回った。
番組での解説を聞いて、「それまでよくわからなかったロシアとウクライナの関係が理解できた」「ロシアの人々にとってキエフがどういった意味がある場所なのかの説明が分かりやすかった」という内容のご意見をいただいた。視聴者目線で分かりやすく解説することの重要性を改めて感じたご意見だった。
一早く現地での様子を伝える記者やキャスターに、身の安全には気を付けながらも、引き続き事実を伝えて欲しいという内容のご意見が幾つも届いた。
一昨年のアメリカ大統領選の際には「フェイクニュース」という言葉が注目されたが、今、YouTubeやSNS、ネットにはウクライナ侵攻に関する様々な動画が日々UPされ、ここへきて「デイープフェイク」と呼ばれるAI技術などを使った高精度なフェイク映像も頻繁に登場するようになった。
ウクライナのゼレンスキー大統領の画像が利用されたフェイク動画を目にした方も多いだろう。SNSを駆使して国民を鼓舞し、リモート演説という形式で諸外国に自国の状況を伝え続けているゼレンスキー大統領。その動画には多大な影響力があり、そこに目を付けられ作られたものだろう。
我々は今、ポケットに入っているスマートフォンで、いつでも戦火の状況を見られる環境にいる。手軽になった分だけ、インターネット上の嘘も巧妙になり、個人のネットリテラシーの力も試されることとなった。だからこそ、テレビには一定の信頼を寄せて、真実を伝え続けて欲しいと願う視聴者の期待に、我々は心して応えなくてはいけない。
某国のプロパガンダ放送を見て、権力者が自分の都合の良い報道だけを行う世の中は恐ろしいと感じた人は多かっただろう。放送に携わる者には報道の持つ意味とその課題が今まで以上に突きつけられた。
自分の非力を感じながらも、この世の中が少しでも良い方向へ進んでいくために果たすべきことは何なのか?唯一の戦争被爆国である日本で、報道に、放送に携わる者は、今、それを考えずにはいられないだろう。
<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長
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