視聴者の声~第6波に対する不安、疑問
【オミクロン株を主とする第6波の襲来。視聴者が不安に思っていることは何か。そして放送局に求めているものは何か】
村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)
年が明けてまもなく、オミクロン株と考えられるコロナの感染者が市中に急増、第6波が急激に押し寄せてきた。この原稿が世に出る頃には更に様々なことが変化していると思われる程、この数週間でコロナを取り巻く環境は日々変化してきている。増える感染者数と比例するように、視聴者センターには、スタジオやロケの感染対策に関することや出演者の感染を心配する声が増えてきた。
「ニュースで感染予防を呼びかけているのに、なぜスタジオではマスクをしないのですか?」「スタジオの人数が多すぎませんか?」「フェイスシールドではなく不織布のマスクをしてほしいです」等々。出演者たちの感染を心から心配して声を寄せてくれる。TBSでも各現場では、医師の指導を仰ぎながら日々対策に取り組んでいる。
デルタ株よりも感染力が強いといわれるオミクロン株は濃厚接触者も急増している。「濃厚接触者になったらどうすればいいのか、食料などは届くのでしょうか?地域によっての違いも含めて詳しく知っておきたいです」「感染を心配しているがPCR検査をすぐに受けられません」検査を受けた場合でも結果がすぐに出るとは限らないし、受けたくても検査を受けられない人もいる。症状があってもなくても、それぞれの立場で様々な心配ごとを抱えながら自宅待機や療養の時間を過ごすことになる。視聴者から届く声の節々からは心配や不安、怒りや、やりきれなさなども感じ、数週間前までとは明らかにトーンが違っている。
「オミクロン株はまだわからないことも多いのだから軽症、軽症といわないでください」「軽症とか、症状が出ない人が多いとか、重症化しにくいとかはきちんとしたエビデンスを示して話してください。無責任なことを言って気を緩ませないでほしい」「重症化リスクがある場合はどのくらい重症化しているのか知りたい」といった内容も届く。以前よりも皆、コロナに関して学んだことも多い。だからこそ本当の事、データに裏打ちされた真実が知りたいというのが本音だ。
第5波の時と比べ、大きく増えたのがこどものコロナ感染を心配する声だ。
「こどもにワクチンを打つべきか否かについて、判断材料となるような情報が知りたい」「出演していた医師が“こどもが陽性になったら家族全滅ですね”なんて言い方はあまりにひどい、恐怖を煽っている」こどもに関してのデータや情報が足りないと感じている人、感染したこどもを家庭内で隔離しながら、必死に家族間の感染を防いでいる人、或いはテレワークや仕事をこなしながらそれらを実行している人…様々な人々がストレスを強いられる生活を送りながら、悩んだり迷ったりしている厳しい現実が垣間見える。
未知のウイルスであればあるほど、頼りになるのはデータだ。日本よりも一足先にオミクロン株のピークアウトを迎えている諸外国の例から学びたいところだが、例えば英国と米国でもオミクロン株に対処するアプローチの仕方がそれぞれ違っている。日本は独自のまん延防止対策をとった。
コロナ禍となり、様々な場面で、一人ひとりがどう判断し、行動するかが今まで以上に求められるようになった。その為にはその考えのもとになるデータが不可欠だ。インターネット上にも今まさにオミクロン株と戦っている医師たちの生の声や臨床例、さらには海外の文献や論文など、様々な情報やデータが存在し、それらをまとめているサイトもある。何を信用し、たどっていくのか、それも一人ひとりの情報リテラシーに任されている。そんな時、TBSのあの番組で紹介していたデータや話が役に立った、分かりやすかったととらえてもらえたら我々の本望だ。
<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長
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