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視聴者の声~人と人のつながり

【ドラマ、バラエティ、報道とジャンルを越えてテレビが届ける「人と人のつながり」。そこには様々なかたちと課題が】

村田典子(TBSテレビ視聴者サービス部)

 春はスペシャル番組の時期でもある。TBSでも石井ふく子プロデューサーの1夜限りのスペシャルドラマ「ひとりぼっち-人と人をつなぐ愛の物語-」を放送した。

 嵐の相葉雅紀さん演じる若者が、震災で家族を亡くし、都会でひとりで生きていくことに生きづらさを感じながらも、血のつながっていない、でも家族のような人々の温かさに触れ、助けられながら成長していく物語。

 彼を取り巻く人々には、坂本冬美さん演じる、男性に頼らず女友達と共におにぎり屋を営む女将や仲野太賀さん演じる声優志望の若者など、「日本の今」を感じさせる人々が登場。その設定は現代の多様な「家族」のありようもあらわしているようだった。出演者の気持ちの入った演技に対する好意見はもとより、老若男女から、たくさんのご意見をいただいた。

 「久しぶりに『お節介』という行為に安心するドラマでした。悩みを抱えても、1人で抱え込まず、人と関わることで前を向ける。優しさが連鎖していくストーリーに心温まりました」

 「僕は高校生活が始まったばかり。不安なことがたくさんありますが、このドラマを見て前向きな気持ちになれました。人とのつながりを大切に一歩ずつ進んでいきたい」 

 「『人は人でしか救えない』とも言います。世知辛い昨今、人前で本音を吐き出すことは難しい現状ですが、大人としてそれらを受け止める度量を持っていたいです」心のこもった声が多く寄せられた。

 「家族」といえば、ここの所、放送される度に反響が大きいのが「オオカミ少年」の企画、「年の差ヒット曲バトル!ハマダ歌謡祭」。

 この企画は大人世代の芸能人と若者世代の芸能人が互いの世代のヒット曲をイントロで当て、歌い切れたら得点になるというカラオケ対決だが「テレビを見ながら家族で歌えるのが楽しいです」「色々な年代の曲を知ることができて面白い」といった声が届く。

 歌を媒介にして家族が集うという意味では、「バナナサンド」の「ハモリ我慢ゲーム(大音量でハモる合唱団に負けずに主旋律を歌えるかどうかを競う)」もお子さんと一緒に楽しんで下さっていることがわかる企画だ。WBCの緊急特番の為、放送中止になった際は「休みの日だったので、子どもが一緒に見て歌いたかったと残念がっています。次回はいつ放送ですか」という問い合わせを複数いただいた。

 二つの歌企画は、テレビがお茶の間(リビング)に家族が集まるきっかけとなり、家族で楽しさを共有できるツールになっていることを改めて実感させてくれた。

 一方で日本の家族を取り巻く環境は決して平穏ではない。「報道特集」では親の虐待やネグレクトなどによって、家庭に安心して暮らせる居場所がなく、新宿歌舞伎町に集まっている若者を取材して放送、様々な内容のご意見を戴いた。

 「⺟親の暴⼒から逃れるために家出をして来た女性の腕にある傷痕の数を見て、涙が出ました」

 「未成年の女性を買春する側を取材すべき。そのこと自体が異常だという事を追及して欲しい」

 「実際に困っている若者たちへの支援はどうなっているのか。NPO法人とつなげるなど方法があるはず。我々に出来ることがあるなら、是非番組で教えて欲しい」

 視聴者の方が、何かできることがあるはずだと思ってくださったことは希望だ。我々も取材しただけでは終われない。

 国の少子化対策に関してはこんな内容のご意見もあった。

 「『情報7 daysニュ ースキャスタ ー』で三谷幸喜氏が"少子化の原因はお金なのか? "と問題提起したのは大変良かった。子育ての大変さや厳しさだけでなく、素晴らしさや、子育てすることで親も成長でき ることもメディアではもっと伝えるべきだ」

 本来はそうであって欲しいのに、そうならない、できない現実も今、目の前にある。

 赤ん坊を遺棄した母親のニュースには「なぜこんなことが幾度も起きるのか、その社会的背景をしっかり探って伝えてほしいと思う」という内容のご意見も届いた。

 世界も日本も情勢は混とんとしている。先述のドラマ「ひとりぼっち」については、「悪い人が出てこない、最近には珍しいドラマを見て癒された。是非続編を」という声や、連続ドラマ化を望む声も多かった。

 先の見えない日々の中で、ひと息つける、希望が持てる時間をテレビに期待されているのは有難い。しかしそれは、伝え続けなければいけない厳しい現実や事実がまだまだ多くあるという事の裏返しかもしれない。今日も視聴者の皆さんのご意見や要望を、その声に応えるために、しっかり現場に届けていきたいと思う。

<執筆者略歴>
村田典子(むらた・のりこ)
1965年生、1989年TBS入社、
ラジオニュース、ラジオ制作、情報番組プロデューサー、宣伝部長などを経て
現在、視聴者サービス部長

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