データからみえる今日の世相~楽しいと感じる時間
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データからみえる今日の世相~楽しいと感じる時間

【コロナ禍により様々な「我慢」を強いられている現在。人々はどういった時間を「楽しい」と感じているのか】

江利川 滋(TBS総合マーケティングラボ)

 この原稿を書いている2021年6月20日。新型コロナウイルス対策で政府が4月23日に出した3回目の緊急事態措置が、沖縄を除く9都道府県で期限を迎えました。東京都では1回目が昨年4月7日~5月25日、2回目が今年1月8日~3月21日、そして3回目と今年に入ってずっと緊急事態という感じ。
 昨年末ごろから再び感染者が増えてしまったので、マスク・手洗い・3密回避に気をつけつつ、いろいろ我慢を強いられることが続いています。
 コロナ禍が過ぎたら、旅行もしたい、レジャーも楽しみたい等々、やりたいことが様々あると思います。そんな鬱憤晴らしや趣味のことなどもふくめて、あなたが「楽しいと感じる時間」は何をしているときでしょうか?
 それを調べたのがこの5月のJNNデータバンク東京地区追加調査です。

【引き続き、「老若男女でこんなに違う<楽しいと感じる時間>」に続く】

老若男女でこんなに違う「楽しいと感じる時間」

 結果の前に、分析する調査データのことを少しだけ紹介させてください。

 TBSテレビをキー局とするテレビの全国ネットワークJNN系列では、毎年11月に「JNNデータバンク定例全国調査」という大きな調査を行っています。系列局が各地域の調査を分担しTBSテレビの担当は首都圏です。
 このTBS担当分の11月調査で回答者となった人に、翌年の2月・5月・8月に追加で調査を実施しているのが東京地区追加調査です(注)。
 今年5月の追加調査でも、東京オリンピックへの意見やコロナ対策など旬の話題を調べています。しかし、今回は我慢を強いられる今だからこそ「楽しみ」に注目してみました。

 質問項目は、51個の選択肢から「楽しいと感じる時間」をいくつでも選んでもらう複数回答です。
 まず、回答者全体(927人)でベスト5を見てみると、以下の通りでした。

楽しいと感じる時間表-01

 1位は「おいしいものを食べているとき」で選択率は6割を超えています。これらを眺めると「食べること」「親しい人(家族、友人)」「ゆっくり」といったキーワードが見えてきます。

 しかし、これを性別や年代別に集計するとまた違った結果が現れます。
 例えば、20代を女性と男性で分けて集計してみると、それぞれのベスト5は以下のようになりました。

楽しいと感じる時間表-02

楽しいと感じる時間表-03

 20代女性の1位は全体と同じく「おいしいものを食べているとき」で、実に選択率は7割超でした。一方、20代男性の1位は6割超が選択した「ゲームをしているとき」。ゲームは若年男性の娯楽の王様のようです。

 20代男女を比較すると、女性に特徴的なのが「街に出かけショッピングやウィンドウショッピングをしているとき」。男性がゲームのバーチャル空間に興じているとき、女性はリアルな街角で消費を楽しんでいます。

 しかし、男女で共通の項目も多く、女性1位の「おいしいものを食べているとき」は男性でも2位です。
 また、「自分の部屋で好きな音楽を聴いているとき」は女性2位・男性4位、「親しい友だちと話をしているとき」は女性4位・男性5位。「音楽」と「友だち」が若者の楽しみの源というのは、現在50代の筆者が30数年前を振り返ってもうなずけるところです。

 一方、60代男女のベスト5は以下のようになりました。

楽しいと感じる時間表-04

楽しいと感じる時間表-05

 まず、60代男女で共通の項目に注目すると、20代男女でもランクインしていた「おいしいものを食べているとき」が女性1位・男性2位。
 また、女性4位・男性1位の「温泉でゆっくりくつろいでいるとき」は20代女性でも4位。そして女性5位・男性4位の「好きな映画をみているとき」は20代男性で5位にランクイン。

 老若男女でも変わらず楽しみなものがある、というのは、年齢を超えて好きなものでわかり合える可能性を示唆していて、興味深いです。

 そして、60代女性で特徴的なのが「テレビのドラマをみているとき」。昨今テレビをよくご覧になるのは年配の方で、若者はインターネットやスマートフォンに時間を割いているといわれますが、図らずもそうした状況の一端が見えているのかも知れません。

 一方、60代男性では「自然の中を歩いているとき」と「静かに酒や食事を楽しむとき」が、それぞれ3人に1人の割合で支持を集めました。
 今流行の「ひとりキャンプ」というわけではないでしょうが、自然を散策したり静かに杯を傾けたり、落ち着いたたたずまいというか、「老境」という文字がにじみ出てくるような楽しみのあり方です。

 その気になれば、こうした集計が10代から70代まで出来るのですが、それらを1つ1つ読み解くのは結構な苦労です。
 そこで次回は、コレスポンデンス分析という手法を使って、そうした集計全体を見渡す見取り図を作ってみたいと思います。乞うご期待!

注: JNNデータバンク定例全国調査・TBSテレビ担当分の調査対象者(=東京地区追加調査の対象者)は、東京駅起点30km圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)在住の13~74歳男女です。今年5月の追加調査の回答者は927人でした。
<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は総合マーケティングラボに在籍。

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